2022年5月試験

FP2級 学科試験 2022年5月 問15(過去問解説)

四択問題

分野:リスク

損害保険による損害賠償等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 政府の自動車損害賠償保障事業による損害の塡補は、自動車損害賠償責任保険と同様に、人身事故による損害が対象となり、物損事故による損害は対象とならない。
  2. 自動車保険の対人賠償保険では、被保険者が被保険自動車の運転中に起こした事故が原因で、兄弟姉妹がケガをしたことにより法律上の損害賠償責任を負った場合、補償の対象となる。
  3. 失火の責任に関する法律によれば、失火により他人に損害を与えた場合、その失火者に重大な過失がなかったときは、民法第709条(不法行為による損害賠償)の規定が適用される。
  4. 生産物賠償責任保険(PL保険)では、被保険者が製造した商品の欠陥が原因で、商品を使用した者がケガをしたことにより法律上の損害賠償責任を負った場合、補償の対象となる。



解答

3

解説

1.は適切。政府の自動車損害賠償保障事業は、自動車損害賠償責任保険の対象とならない「ひき逃げ事故」や「無保険事故」に巻き込まれた被害者に対し、最終的な救済措置として政府がその損害をてん補する制度です。

自動車損害賠償責任保険と同様に、人身事故による損害が対象になります。物損事故は対象外です。

2.は適切。対人賠償保険は、自動車事故で他人を死傷させたことにより、法律上の損害賠償責任を負う場合に備えて加入する保険です。万が一のさいに、自賠責保険でカバーできない超過分が保険会社から支払われます。

なお、配偶者や子などの家族は上記の「他人」に含まれないため対象外になりますが、兄弟姉妹は「他人」として取り扱われるため補償の対象になります。

3.は不適切。失火ノ責任ニ関スル法律(通称:失火責任法)では、以下のように定められています。

民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス。
民法第709条の規定は、失火の場合には適用しない。ただし、失火した者に重大な過失があるときはこの限りではない。

よって、その失火者に重大な過失がなかったときは、民法第709条(不法行為による損害賠償)の規定は適用されません。不法行為に基づく損害賠償責任(ex.隣家の所有者に対する損害賠償責任)も発生しません。

4.は適切。生産物賠償責任保険(PL保険)は、製造・販売した製品や提供したサービスにより他人に損害を与えた場合に、その他人に対する損害賠償責任に備えて加入する保険です。

よって、被保険者が製造した商品の欠陥が原因で、商品を使用した者がケガをしたことにより法律上の損害賠償責任を負った場合、補償の対象になります

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