CFP試験に関するQ&A(22)
CFPとは、サーティファイド・ファイナンシャル・プランナー(Certified Financial Planner)の英単語の頭文字をとった略語で、FP協会が実施・認定しているファイナンシャル・プランニングに関する国際的な民間資格です。
また、CFP試験に合格&エントリー研修や実務経験などの要件を満たし、FP協会に「世界基準のファイナンシャル・プランニング・サービスを提供できる能力がある」と認定された者をCFP認定者といいます。
以下の4つの条件を満たすとCFPに認定されます。
- CFP試験の6科目に合格していること
- エントリー研修を受講・修了していること
- 通算で3年以上の実務経験を有していること
- 必要書類を提出し、約定書に署名すること
1つめの「CFP試験の6科目に合格していること」ですが、CFP試験は6科目の科目合格制なので、自分のペースに合わせて勉強することができます。一気に6科目を勉強・受験して一発合格を狙う方もいれば、毎回1科目ずつ無理なく受験する方もいらっしゃいます。
2つめの「エントリー研修」というのはeラーニング形式の通信研修で、年に2回、7月下旬と12月下旬に、約2週間にわたって実施されます。修了の要件は「スライド教材を閲覧&確認テストをクリアすること」です。面接や口述などの試験はありません。費用は無料です。
3つめの「通算で3年以上の実務経験を有していること」は、文字どおり3年以上の実務経験が必要になりますが、実務経験は合格前でも合格後でも構いません。
4つめの条件は、上の3つの条件を満たしたあとにFP協会に登録申請するだけですが、登録料(5,000円)および年会費(毎年20,000円)がかかります。
CFP試験の受験資格を得るためには、まずAFP認定者になる必要があります。また、FP協会が認定する大学院で所定の課程の単位を取得するとCFP試験の受験資格が付与されます。
試験科目は「金融資産運用設計」「不動産運用設計」「ライフプランニング・リタイアメントプランニング」「リスクと保険」「タックスプランニング」「相続・事業承継設計」の全6科目です。
CFP試験は科目合格制が採用されています。1科目ずつ受験することも可能なので、仕事・育児と勉強を両立している受験生が多いです。
科目合格の有効期限は、AFPの登録期間中(=AFPとして認定されている間)に限られます。
よって、年会費の未払いや2年ごとの更新手続きを怠り、AFPの認定が終了した場合はCFP試験の科目合格も失効します。なるべく早めに6科目の合格を目指しましょう。
CFP試験は1年度に2回、6月と11月の日曜日に2週にわたって実施されます。1週目の日曜日に3科目、2週目の日曜日に残りの3科目の試験が行われます。
- 1週目の日曜日(3科目):金融資産運用設計、不動産運用設計、ライフプランニング・リタイアメントプランニング
- 2週目の日曜日(3科目):リスクと保険、タックスプランニング、相続・事業承継設計
各科目の年間総受験者数は5,000人~7,000人、平均合格率は30%~40%ぐらいです。毎年200人ぐらいの方が全6科目を一気に受験しますが、1発で合格できるのはその中でも5%~10%ぐらいです。
ちなみに、私は2015年11月に3科目、2016年6月に3科目を受験しました。一般的には毎回2科目(1週目の日曜日に1科目、2週目の日曜日にもう1科目)ずつ受験する方が多いです。
実務経験に関しては、かなり幅広く認められています。
銀行や会計事務所などFPの業務と関連がある仕事はもちろんのこと、一般事業会社の経理部員や金融系のコールセンターにおける顧客対応、FPサイトの運営なども実務経験として認められるようです。
なお、実務経験は自己申告制で第三者による証明などは不要です。自身の職歴・経験が実務経験としてカウントできるかどうか不安な場合はFP協会に直接お問い合わせください。
実務経験がなくてもCFP試験を受験することは可能です。実務経験はCFP認定者になるために必要なのであって、CFP試験の受験にあたっては必要ありません。
実務経験がない場合・経験年数が不足している場合は、FP協会の認定教育機関が主催する有料の継続教育研修(みなし実務研修)を受講することにより、講義1時間を1か月の実務経験として申請することができます。
つまり、継続教育研修(みなし実務研修)を36時間受講することにより36か月分(3年分)の実務経験に代えることができるため、実務経験が全く無い場合でもCFP認定者になることは可能です。
CFP試験は1年度に2回(6月・11月)実施されますが、問題・解答のベースとなる法令基準日は試験日ごとに異なります。
- 6月試験:その年の1月1日
- 11月試験:その年の4月1日
2014年度の試験から問題用紙を持ち帰ることができるようになりました。
試験日の翌営業日に公表される模範解答ですぐに自己採点できるように、答案を提出する前に自分の解答を問題用紙の白紙部分にメモっておきましょう。
合格点は試験回・科目によって毎回異なります。
各科目の上位30%~40%の受験生が合格ラインに乗るように設定されますが、最近の試験では全50問中30問前後になることが多いです。
CFP試験は、全国24地区(札幌、仙台、水戸、宇都宮、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、富山、金沢、松本、静岡、名古屋、京都、大阪、松江、岡山、広島、高松、松山、福岡、熊本、那覇)で行われます。
自分で好きな地区を選んで受験することができますが、海外で受験することはできません。
FP1級の学科試験は一発勝負で、合格率も10%前後なのでかなり難しいです。
一方、CFP試験は科目合格制で、各科目の平均合格率も30%~40%とそこそこ高いですが、6科目同時受験者の合格率は5%~10%とかなり低いです。
形式の違う試験なので難度を単純に比較するのは難しいですが、どちらもそれなりに難しい試験であることは間違いありません。
1年以上の実務経験があって、ある程度まとまった勉強時間を確保できる方は一発勝負のFP1級を、仕事や育児と勉強を両立する必要がある方は科目合格制のCFP試験を受験されることが多いです。
CFP試験の6科目に合格すると、FP1級の一番の難所である学科試験が免除(=合格率の高い実技試験をクリアすればFP1級合格)になります。
よって、CFPとFP1級の両方を取りたい場合は「FP2級合格→AFP登録→CFP6科目合格→(FP1級学科免除)→FP1級実技→FP1級合格」という順番で勉強しましょう。
複雑な計算問題が出題される「金融資産運用設計」が難しいという声が多いですが、どの科目を難しく感じるかは個人差があります。
ちなみに、私の場合は「ライフプランニング・リタイアメントプランニング」の勉強に一番多くの時間を割きましたが、本試験の点数は一番低かったです。
科目 | 勉強時間 | 本試験の点数 | 合格点 |
---|---|---|---|
タックス | 30時間20分 | 46点 | 29点 |
相続 | 31時間35分 | 41点 | 31点 |
金融 | 39時間55分 | 41点 | 31点 |
ライフ | 47時間00分 | 36点 | 31点 |
不動産 | 40時間30分 | 40点 | 32点 |
リスク | 32時間00分 | 44点 | 28点 |
基本的な受験パターンは「6科目×1回」「3科目×2回」「2科目×3回」「1科目×6回」の4つがありますが、「6科目×1回」は科目を選びようがないですし、「1科目×6回」は好きな順番で受けてけば良いと思います。
「3科目×2回」のパターンで受験する場合、1日に3科目(3-0または0-3)というのはかなりきついので、1週目に1科目・2週目に2科目(1-2)または1週目に2科目・2週目に1科目(2-1)という組み合わせで受験することをおすすめします。
ちなみに、私は以下のような組み合わせで受験しました。
- 1週目の日曜日:不動産(12:30~14:30)、ライフ(15:30~17:30)
- 2週目の日曜日:リスク(9:30~11:30)
- 1週目の日曜日:金融(9:30~11:30)
- 2週目の日曜日:タックス(12:30~14:30)、相続(15:30~17:30)
「2科目×3回」のパターンで受験する場合も、試験日を出来るだけ分散させたほうが各科目に集中できるので、1週目に1科目・2週目に1科目(1-1)という組み合わせで受験することをおすすめします。
CFPに認められているのは名称独占(=合格しないとCFPと名乗れない)だけです。宅建士や税理士、公認会計士のような業務独占(=合格しないと一定の業務ができない)はありません。
CFPはAFPと同様に「継続的に最新の知識とスキルを学んでいること」が認定の条件のひとつなので、2年ごとに資格を更新する必要があります。
具体的には、CFPの継続教育研修を受講することにより、FP協会が指定する科目数(必須科目「FP実務と倫理」+2科目以上)および単位数(30単位以上)の条件を満たしたうえで、CFP資格の更新手続きを行います。
1年目は25,000円、2年目以降は20,000円です。また、2年ごとに行う資格更新時にはさらに継続教育研修の受講費用がかかります。
なお、一定の条件を満たす場合は学生割引制度(年会費半額)を利用することができます。
- 1年目:新規登録料5,000円+年会費12,000円+CFP会費8,000円=25,000円
- 2年目以降:年会費12,000円+CFP会費8,000円=20,000円
- 1年目:新規登録料5,000円+年会費6,000円+CFP会費8,000円=19,000円
- 2年目以降:年会費6,000円+CFP会費8,000円=14,000円
CFP認定者になると名刺に「CFP」と書くことができます。FPに関する高度な知識を有している証になるため、生保の営業や保険の代理店などで働く場合にプラスになります。
また、日本全国にAFP・CFPを対象とした支部やスタディグループがたくさんあるため、同業者の人脈やネットワークを広げることができます。
勉強方法に関するQ&A(4)
CFP試験(6科目)の合格に必要な勉強時間は、地頭の良さや勉強期間、年齢、FP関連の知識の有無などによって大きく変わりますが、一般的には300時間~500時間(1科目あたり50時間~80時間)がひとつの目安になると言われています。
- FP3級(学科+実技):50時間前後
- FP2級(学科+実技):3級合格+150時間前後
- FP1級(学科+実技):2級合格+300時間~500時間
- CFP(6科目):2級合格+300時間~500時間
- FP1級(実技のみ):CFP合格+20時間前後
独学でもじゅうぶん合格できます。
CFP試験は自分ペースに合わせて受験科目数を調整できますし、FPK研修センターの精選過去問題集という鉄板教材があるからです。
ただ、「絶対に1回で合格したい!」「独学で勉強するのは不安…」という方には、TACや大原などの専門学校の通学・通信講座の受講をおすすめします。
CFP試験に関しては、FPK研修センターの精選過去問題集の一択です。
私は「精選過去問題集の問題をひたすら解きまくり、間違えた問題はFP2級のテキストやネット検索などを使って復習し、必要な情報はすべてFP2級のテキストに集約する」という勉強方法でストレート合格しました。
CFP試験は「過去に出題された問題の類似問題」がよく出題されるため、過去問対策が合格のカギになります。FPK研修センターの精選過去問題集に収載されている問題を何度も繰り返し解くことをおすすめします。
勉強方法に関するQ&A(5)
エントリー研修は、FP協会が主催するeラーニング形式の通信研修です。
2019年度の第1回までは、各自がWEB上で学習をすすめる「通信研修」と、実際に顔をあわせてロールプレイングなどを行う「集合研修」の2つで構成されていましたが、2019年度の第2回から現行のeラーニング形式の通信研修に変更されました。
エントリー研修の受講料は無料です。年に2回、7月下旬と12月下旬に、約2週間にわたって実施されます。
自身の都合の良いタイミングで受講することができますが、全6科目に合格した日から5年を経過すると受講する権利が消滅します。ご注意ください。
エントリー研修には「①6つのステップと必要な力量及び倫理」「②FPとコンプライアンス」「③倫理原則を実践する」の3つの学習項目があります。
それぞれの項目ごとにスライド教材を閲覧し、すべての確認テストをクリアすると「修了」になります。すべてWEB上で完結するため、レポート等を提出する必要はありません。
エントリー研修を受けずにCFPの認定を受けることは不可能です。
なぜなら、CFPの認定を受けるためには「AFP認定者」「CFP試験6科目に合格」「実務経験3年以上」「エントリー研修を修了」という4つの条件をクリアする必要があるからです。
なお、CFP試験6科目に合格する前に研修を受講することはできません。通常は「AFP認定→CFP試験の6科目に合格→CFPエントリー研修→CFP認定」という流れになります。
CFPのエントリー研修は「CFPの認定を受けるために受講する研修」です。
一方、継続教育研修は「(CFPに認定されたあとに)CFP資格を更新するために定期的に受講する研修」です。