四択問題
分野:相続
次の費用等のうち、相続税の課税価格の計算上、相続財産の価額から債務控除することができるものはどれか。なお、相続人は債務控除の適用要件を満たしているものとする。
- 被相続人が団体信用生命保険に加入して金融機関から借り入れていた住宅ローンで、相続開始直前にローン残高があるもの
- 被相続人が生前購入した墓碑の購入代金で、相続開始時点で未払いのもの
- 遺言執行者である弁護士に支払った被相続人の相続に係る遺言執行費用
- 特別寄与者に支払った特別寄与料で、特別寄与者に係る相続税の課税価格に算入されるもの
解答
4
解説
相続税額の計算上、被相続人の一定の債務および葬式費用については相続財産の価額から差し引くことができます。
葬式費用に関しては、通夜・告別式などにかかる諸費用や火葬・納骨費用は債務控除の対象になりますが、香典返戻費用や初七日や法事などのためにかかった費用は債務控除の対象になりません。
債務に関しては、被相続人の借入金や未払いの税金・医療費も債務控除の対象になりますが、生前に購入していた墓地などの未払金や遺言執行費用は債務控除の対象になりません。
- 債務控除の可否まとめ
- 債務控除の対象になるもの:通夜・告別式などにかかる諸費用、お寺などに施与した金品、火葬・納骨費用、被相続人の借入金、未払いの税金・医療費など
- 債務控除の対象にならないもの:香典返戻費用、初七日や法事などのためにかかった費用、生前に購入していた墓地などの未払金、遺言執行費用など
1.の「金融機関から借り入れていた住宅ローン」は債務控除することができません。
債務控除は「被相続人が死亡したときにあった債務で、確実と認められるもの」が対象になります。
団体信用生命保険に加入して金融機関から借り入れていた住宅ローンは、被相続人の死亡により支払われる保険金によって補てんされることが確実であり、相続人が支払う必要のない債務に該当するため債務控除の対象になりません。
2.の「生前に購入していた墓地などの未払金」は債務控除することができません。
3.の「相続にかかる遺言執行費用」は債務控除することができません。
4.の「特別寄与者に支払った特別寄与料」は債務控除することができます。
特別寄与者(特別寄与制度)は相続法の改正で新たに創設された権利です。
相続人以外の親族(ex.被相続人の長男の妻など)の中に被相続人に対して特別な寄与(ex.長期間にわたる日常生活の介護)をした者がいた場合、相続人に対してその寄与に見合った特別寄与料を請求できるようになりました。
特別寄与者に特別寄与料を支払った場合には、その特別寄与料相当額が債務控除の対象になる旨が相続税法第13条第4項で規定されています。