FP2級の試験制度に関するQ&A(20)
次のいずれかに該当する者にFP2級の受験資格が与えられます。
- FP協会が認定するAFP認定研修を修了した者
- FP3級試験の合格者
- FP業務に関し2年以上の実務経験を有する者
- 厚生労働省認定金融渉外技能審査3級の合格者
1つめの「AFP認定研修」というのは、FP協会認定の研修講座のことです。協会が認定した教育機関(TACや大原など)で指定の講座を受講し、無事に修了するとFP2級の受験資格が与えられます。
2つめの「FP3級試験の合格者」は分かりやすいですよね。FP3級に合格するとFP2級の受験資格が自動的に与えられます。多くの受験生はこのルートでFP3級からFP2級に進みます。
3つめの「実務経験」ですが、銀行や会計事務所などFPの業務と関連がある仕事を2年以上している(またはしていた)人は、FP3級を飛ばしていきなりFP2級から受験することができます。
最後の「厚生労働省認定金融渉外技能審査」というのは、以前に金財が実施していたファイナンシャル・プランニングに関する試験のことです(通称・金財FP)。この試験は2001年に終了しているため現在は受験できませんが、救済措置の一環でこの試験の3級に合格している人にはFP2級の受験資格が与えられます。
FP3級の試験は1年度に3回(5月・9月・1月)実施されます。FP協会・金財ともに同日に行われるため、1日に両方を受験することはできません。
試験の申込受付期間は、試験日の約2か月前~約1か月前までで、試験日の約1か月後に合格発表が行われます。
科目 | 5月 | 9月 | 1月 |
---|---|---|---|
学科 | ◯ | ◯ | ◯ |
実技(資産設計) | ◯ | ◯ | ◯ |
科目 | 5月 | 9月 | 1月 |
---|---|---|---|
学科 | ◯ | ◯ | ◯ |
実技(個人資産) | ◯ | ◯ | ◯ |
実技(中小事業) | - | ◯ | ◯ |
実技(生保顧客) | ◯ | ◯ | ◯ |
実技(損保顧客) | - | ◯ | - |
FP協会の実技は1科目しかないため、科目を自由に選択することはできません。
一方、金財は実技が4科目あり、この中から自分で好きな科目を選択することができます。
なお、中小事業主資産相談業務は1年度に2回、損保顧客資産相談業務は1年度に1回しか実施されないため、選択にあたって注意が必要です。
FP協会の学科試験および実技試験(資産設計提案業務)の年間受験者数は約7万人~8万人です。一方、金財の学科試験の年間受験者数は約13万人で、実技試験の年間受験者数は個人資産相談業務が約7万人、生保顧客資産相談業務が約3万人、中小事業主資産相談業務が約5千人、損保顧客資産相談業務が約5百人と科目によってかなり差があります。
合格率に関しては、FP協会の学科試験が40%前後なのに対して、金財の学科試験は25%前後と約15ポイントの差があります。実技試験に関しても、FP協会の資産設計提案業務が50%前後なのに対して、金財の4つの実技試験の平均は35%~40%前後と、こちらも約10~15ポイントの差があります。
FP3級と同様、学科試験は共通なので同じ問題が出題されます。一方、実技試験は各業務により試験の内容が異なります。
会社の指示や個人的なこだわりが無ければ、実技試験の平均合格率の高いFP協会をおすすめします。私もFP協会でFP2級を受験しました。
なお、金財でFP3級を受験・合格した方であっても、FP協会でFP2級を受験することは可能です(もちろん逆(FP協会→金財)もOKです)。
FP2級の試験は1年度に3回(5月・9月・1月)実施されますが、問題・解答のベースとなる法令基準日は試験日ごとに異なります。
- 5月試験:前年の10月1日
- 9月試験:その年の4月1日
- 1月試験:前年の10月1日
できます。
試験日の翌営業日に公表される模範解答ですぐに自己採点できるように、答案を提出する前に自分の解答を問題用紙の白紙部分にメモっておきましょう。
学科試験は60点満点中36点(得点率60%)、実技試験は100点満点中60点(得点率60%)が合格ラインになります。つまり、どちらも6割以上取れれば合格です。
「実技」という言葉から、面接形式の質疑応答でもするのかな?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、試験の形式は学科試験と同様にマークシート形式の筆記試験です。
例えば、FP協会の実技(資産設計提案業務)試験では、各所得の計算問題や保険の給付額の算定問題、法定相続分の計算などが出題されます。
会社の指示や個人的なこだわりが無ければ、平均合格率の高いFP協会をおすすめします。なお、FP協会の実技試験は資産設計提案業務のみなので、自動的にこちらがおすすめの科目になります。
FP3級と同様、学科試験は試験日の午前中(10時~)に、実技試験は試験日の午後(13時30分~)に行われるので、学科試験と実技試験を同時に受験することは可能です。
FP3級と同様、学科試験と実技試験は同時に受験することもできますし、別々に受験することも可能です。各自で自由に選択することができます。
FP2級は学科試験と実技試験の両方に合格する必要がありますが、学科試験と実技試験のどちらか片方だけ合格している状態を「一部合格」といいます。
なお、一部合格の有効期限は「翌々年度末までに行われる試験まで」となっており、有効期限がすぎると一部合格は自動的に失効します。
- 2023年度の試験で一部合格 → 2025年度の1月試験まで有効
- 2024年度の試験で一部合格 → 2026年度の1月試験まで有効
- 2025年度の試験で一部合格 → 2027年度の1月試験まで有効
学科試験と実技試験のどちらか片方だけ合格している状態を「一部合格」といいますが、有効期限内に合格済みの科目について免除申請を行うことができます。この申請を行ったうえでもう片方の科目に合格すると、FP2級の合格が認定されます。
なお、免除申請を行わずに受験した場合であっても、後日、学科試験・実技試験の一部合格証を提出することによりFP2級の合格が認定されます。
FP2級とFP1級(学科)の試験は同日の同一時間帯に行われるので、2つの級を同時に受験することはできません。
国家資格であるFP2級は一度合格したら一生有効で、継続教育や更新手続き等も不要です。なお、民間資格であるAFP・CFPは定期的に継続教育研修を受け、更新手続きをする必要があります。
FP2級で問われる「6つの分野に関する応用的な知識」を有している証になるため、FP事務所や金融・保険関係の会社に就職・転職するさいに一定の評価が得られます。
ただし、FP2級はFP関連資格の中でも中級レベルの位置づけになるため、大きなアドバンテージが得られるわけではありません。FP1級の合格やCFPの取得を目指しましょう。
名刺には「2級ファイナンシャル・プランニング技能士」と書くのが一般的です。なお、実技試験の業務名の表示は任意なので「2級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)」と書くこともできます。
履歴書には「●年●月 2級ファイナンシャル・プランニング技能検定 合格」と書くのが一般的です。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士の英語表記は「2nd grade Certified Skilled Worker of Financial Planning」です。
FP協会・金財ともに有料(2,000円・非課税)で合格証書を再発行してもらえます。また、合格したことを証明する書類(合格証明書)は、FP協会・金財ともに無料で発行してもらえます。
FP2級の勉強方法に関するQ&A(5)
FP2級(学科試験および実技試験)の合格に必要な勉強時間は、地頭の良さや勉強期間、年齢、FP関連の知識の有無などによって大きく変わりますが、一般的には150時間前後がひとつの目安になると言われています。
- FP3級(学科+実技):50時間前後
- FP2級(学科+実技):3級合格+150時間前後
- FP1級(学科+実技):2級合格+300時間~500時間
- CFP(6科目):2級合格+300時間~500時間
- FP1級(実技のみ):CFP合格+20時間前後
FP2級は市販の教材が充実しているので、独学でじゅうぶん合格可能です。テキスト・問題集・電卓の3点をお手元にご用意ください。
独学で勉強するのは不安という方には、TACや大原などの通信講座や、独学と通信講座の良いとこどりをしたTACの「独学道場」の受講をおすすめします。
私がFP2級の勉強をするさいに実際に利用した、TAC出版の「みんなが欲しかった! FPの教科書 2級」「みんなが欲しかった! FPの問題集 2級」をおすすめします。フルカラーでとても使いやすいです。
予想問題集には出題可能性の高い問題が多数収載されています。直前期の総仕上げにぴったりな教材なので、時間に余裕があればぜひやってください。
私は2015年5月にFP2級を受験しましたが、TACの「2015年5月試験をあてる TAC直前予想 FP技能士2級」という予想問題集を買って試験前に解きました。予想問題だけでなく、出題予想や総まとめ冊子なども付いていて良かったです。
なお、予想問題を解くさいのポイントは「必ず時間を計って解く」「間違えたところは必ずテキストに戻って復習する」「最低でも2回ずつ解く」の3点です。
まずはテキストをひと通り読んで全体像を把握し、次にテキスト・問題集を使って単元ごとに「テキスト熟読→問題演習→復習」を繰り返して1周しましょう。時間に余裕があればさらに問題集のみをもう1周して、最後に予想問題集で総仕上げをすればバッチリです。
FP試験ナビでは合格者の方々にご投稿いただいた合格体験記を公開しています。合格体験記には勉強法のヒントがたくさんつまってるので、ぜひこちらもあわせてご確認ください。
昨年5月にFP2級に合格(個人資産業務のおいて)しました。この機会に別の実技を受験してみようかと考えていますが、その場合にも学科試験合格の免除期限があるのでしょうか?片方のみ合格(学科、実技いずれか)の場合には、有効期限があるのは承知してます。それと同じで翌々年まで免除され、それ以降になったら学科も受験しなくてはいけないのでしょうか?それとも、合格しているので、学科は無期限で免除され、各種の実技だけ試験を受けることができるのか?ご教示をお願い致します。
ご存知のとおり、有効期限があるのは一部合格です。
学科・実技に合格している状態(=完全合格)であれば有効期限はありませんので、学科試験は無期限で免除となり、各実技試験のみを受験することができます。
なお、受験のさいは、念のため日本FP協会または金財に直接お問い合わせください。