四択問題
分野:相続
取引相場のない株式にかかる類似業種比準価額に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、類似業種比準価額の計算に影響を与える他の要素については、考慮しないものとする。
- A社は土地を売却する予定であり、売却すると多額の売却損の発生が予想されるため、この土地の売却により類似業種比準価額を引き下げることができると考えている。
- B社は、類似業種比準価額の計算上、配当、利益および純資産という3つの比準要素のウエイトが「1:3:1」であるため、今後は、配当や純資産の引下げに努めるよりもウエイトの高い利益の引下げ(圧縮)に努めた方が、類似業種比準価額の引下げ効果は大きいと考えている。
- C社はこれまで無配であったが、今期、創業30年の記念配当を実施する予定であり、この配当を実施すると、比準要素のうちの配当がゼロからプラスになるため、類似業種比準価額が上昇するのではないかと考えている。
- D社の株式評価上の会社規模は、現在、中会社であるが、類似業種比準価額の計算上の斟酌率は会社規模が大きいほど小さくなるため、会社規模を大会社にさせて類似業種比準価額を引き下げたいと考えている。
解答
1
解説
取引相場のない株式の評価方法には「類似業種比準方式」「純資産価額方式」「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式」「配当還元方式」の4種類があります。
「類似業種比準方式」は上場している類似企業の株価をベースに、1株あたりの配当額・利益額・簿価純資産額を加味して、取引相場のない株式の1株あたりの評価額を計算する方法です。
1.は適切。類似業種比準価額の計算式の分子のひとつに「評価会社の1株あたりの利益金額」がありますが、土地売却損を計上することによりこの金額が小さくなるため、類似業種比準価額を引き下げることができます。
2.は不適切。2017年度の税制改正により、配当・利益・純資産の3つの比準要素のウエイトは、「1:3:1」から「1:1:1」になりました。
この改正により、利益の引下げ(圧縮)による類似業種比準価額の引下げ効果は、配当や純資産の引下げと同レベルになりました。
3.は不適切。類似業種比準価額の算定にあたって考慮される配当金は経常的な配当に限定されます。記念配当や特別配当は計算上、考慮されないため、創業30年の記念配当を実施したとしても類似業種比準価額は上昇しません。
4.は不適切。類似業種比準価額の計算上の斟酌率は、会社規模に比例して大きくなります。よって、会社規模を大きくすると類似業種比準価額も上昇してしまいます。
類似業種比準価額の計算上の斟酌率
- 大会社:0.7
- 中会社:0.6
- 小会社:0.5
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