2019年1月試験

FP2級 学科試験 2019年1月 問40(過去問解説)

四択問題

分野:タックス

会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 役員が会社の所有する社宅に無償で居住している場合には、原則として、通常の賃貸料相当額が、その役員の給与所得の収入金額になる。
  2. 会社が役員に対して定期同額給与を支給した場合には、不相当に高額な部分の金額など一定のものを除き、その会社の所得金額の計算上損金の額に算入される。
  3. 役員が会社に対して無利息で金銭の貸付けを行った場合には、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、その役員の雑所得の収入金額になる。
  4. 会社が役員の所有する土地を適正な時価よりも低い価額で取得した場合には、その適正な時価と実際に支払った対価との差額が、その会社の所得金額の計算上益金の額に算入される。



解答

3

解説

1.は適切。なお、無償ではないものの役員が負担する賃料の金額が通常の賃貸料相当額に満たないときは、差額が役員給与とみなされます。

2.は適切。役員給与は原則として損金に算入することができませんが、所定の時期に確定額を支給する旨の定めの内容をあらかじめ税務署長に届け出ることにより、適正額を損金に算入することができます。このような給与を「事前確定届出給与」といいます。

損金に算入できる役員給与
  • 定期同額給与のうちの適正額(※不相当に高額な部分は除く)
  • 事前確定届出給与のうちの適正額(※不相当に高額な部分は除く)
  • 利益連動給与のうちの適正額(※不相当に高額な部分は除く)

3.は不適切。役員が会社に対して無利息で金銭の貸付けた場合、その行為が必ずしも営利目的とは言えないため、原則として役員には課税されません

逆に、会社が役員に対して金銭を無利息で貸し付けた場合、通常の利子との差額は給与とみなされるため、原則としてその役員の給与所得の収入金額に算入します。

例えば、会社が無利子で役員に対して100万円を貸し付けた場合、通常の利子が1%とすると…通常の利子との差額1万円(=100万円×1%-0円)が給与所得とみなされ課税されます。

無利息で金銭を貸し付けた場合
  • 会社→役員:通常の利子との差額が役員に課税される
  • 役員→会社:役員には課税されない

4.は適切。例えば、役員が所有する土地(適正な時価は800万円)を会社に500万円で譲渡した場合、会社は時価と譲渡額との差額300万円を受贈益として処理し、益金に算入します(※この300万円は法人税の課税対象になります)。

会社・役員間の低廉譲渡にかかる課税関係
売主 役員 会社
買主 会社 役員
譲渡価額 時価の2分の1以上 時価の2分の1未満 時価未満
売主 譲渡価額と取得費等
の差額が譲渡所得
(通常の計算)
時価と取得費等
の差額が譲渡所得
(みなし譲渡)
時価と帳簿価額
の差額は売却益
(売却価額は時価)
買主 譲渡価額と時価の差額は受贈益
(取得価額は時価)
時価と譲渡価額
の差額は給与所得

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