2019年1月試験

FP2級 学科試験 2019年1月 問42(過去問解説)

四択問題

分野:不動産

不動産の売買契約にかかる民法の規定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。

  1. 買主に債務の履行遅滞が生じた場合、売主は、履行の催告をすることなく直ちに契約を解除することができる。
  2. 売買の目的物に隠れた瑕疵があり、買主が売主の瑕疵担保責任に基づく損害賠償の請求をする場合、買主は、その請求を売買契約締結時から5年以内にしなければならない。
  3. 未成年者が法定代理人の同意を得ないで不動産の売買契約を締結した場合、自らを成年者であると信じさせるため詐術を用いたときは、その売買契約を取り消すことができない。
  4. 買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金を支払った後であっても、売主は、受領した代金を返還し、手付金の倍額を償還することにより、契約の解除をすることができる。



解答

3

解説

1.は不適切。売買契約締結後、買主の責めに帰すべき事由により債務の履行遅滞が生じた場合、売主は、買主に債務の履行を求める催告をしたうえで、解除する旨を通知して契約を解除することができます。

なお、買主が履行不能な状態に陥っている場合、売主は、催告をすることなく直ちに契約の解除をすることができます。

2.は不適切。売買の目的物に隠れた瑕疵があり、買主が売主の瑕疵担保責任に基づく損害賠償の請求をする場合、買主は、その請求を売買契約締結時から1年以内にしなければなりません。

例えば、建物が引き渡されて20年が経過していたとしても、欠陥(瑕疵)を発見した日から1年以内であれば、瑕疵担保責任に基づく権利を行使して損害賠償の請求をすることができます。

ただ、それでは売主の責任があまりにも重くなってしまうので、特約を結んで瑕疵担保責任の期間を短縮したり免除することもあります。

3.は適切。民法第5条に「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない(第1項)前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる(第2項)」と定められています。

よって、未成年者が法定代理人の同意を得ないで不動産の売買契約を締結した場合、その売買契約を取り消すことができます。

ただし、未成年者が自らを成年者であると信じさせるため詐術を用いた場合は、未成年者よりも相手方の保護が優先されるため、売買契約を取り消すことはできません。

4.は不適切。相手方が履行に着手したあとは、原則として契約を解除することはできません。

本肢の場合、すでに買主が売買代金を支払っている(=履行に着手している)ため、売主は契約を解除することができません。

なお、買主が履行に着手する前であれば、売主は、受領した代金を返還し、手付金の倍額を償還することにより、契約の解除をすることができます。

  • 買主の履行着手とは:売買代金を支払った時点(一部でもOK)
  • 売主の履行着手とは:建築作業を始めた時点

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