2022年5月試験

FP2級 学科試験 2022年5月 問18(過去問解説)

四択問題

分野:リスク

契約者(=保険料負担者)を法人とする損害保険契約の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 火災により倉庫を焼失するリスクに備えて、保険期間5年の火災保険に加入し、5年分の保険料を一括で支払った場合、その事業年度に、支払った保険料の全額を損金の額に算入することができる。
  2. 業務中の事故によりケガを負うリスクに備えて、すべての役員・従業員を被保険者および保険金受取人とする普通傷害保険に加入した場合、その支払った保険料の全額を損金の額に算入することができる。
  3. 法人が所有する業務用自動車が交通事故で損壊し、法人が受け取った自動車保険の車両保険の保険金で修理をした場合、当該保険金を益金の額に算入し、当該修理費を損金の額に算入することができる。
  4. 積立傷害保険が満期を迎え、法人が満期返戻金と契約者配当金を受け取った場合、その全額を益金の額に算入し、資産に計上していた積立保険料の累計額を損金の額に算入することができる。



解答

1

解説

1.は不適切。法人が所有する建物を対象とする長期の火災保険に加入し、保険料を一括で支払った場合、損金の額に算入することができるのは当該事業年度にかかる分だけです。

たとえば、期首に5年分の保険料を支払った場合、当期の損金の額に算入できるのは1年分だけで、翌年度以降にかかる4年分を損金の額に算入することはできません。

期首に5年分の保険料を支払った場合
  • 1年目:1年分を損金の額に算入
  • 2年目:1年分を損金の額に算入
  • 3年目:1年分を損金の額に算入
  • 4年目:1年分を損金の額に算入
  • 5年目:1年分を損金の額に算入

2.は適切。貯蓄性のない普通傷害保険の月払保険料は、原則として、支払った保険料の全額を福利厚生費として損金に算入します。

参考:保険料支払時の仕訳
(借)福利厚生費 ***
 (貸)現金預金など ***

3.は適切。受け取った保険金と支払った修繕費の差額が、法人税の課税対象になります。

4.は適切。受け取った満期返戻金・契約者配当金と資産計上していた積立保険料の累計額との差額が、法人税の課税対象になります。

保険料支払時の仕訳
(借)保険料積立金 ***
 (貸)現金預金など ***
満期返戻金受取時の仕訳
(借)現金預金など ***
 (貸)保険料積立金 ***
 (貸)雑収入 ***

仮に、積立火災保険の満期返戻金が1,000万円、資産計上していた積立保険料の累計額が800万円だった場合、(雑収入として処理する)差額の200万円が法人税の課税対象になります。

満期返戻金受取時の仕訳(※上記のケース)
(借)現金預金など 10,000,000
 (貸)保険料積立金 8,000,000
 (貸)雑収入 2,000,000

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