2022年5月試験

FP2級 学科試験 2022年5月 問28(過去問解説)

四択問題

分野:金融

ポートフォリオ理論に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. ポートフォリオのリスクとは、一般に、組成されたポートフォリオの損失額の大きさを示すのではなく、そのポートフォリオの期待収益率と実際の収益率の乖離の度合いをいう。
  2. 異なる2資産からなるポートフォリオにおいて、2資産間の相関係数がゼロである場合、ポートフォリオを組成することによる分散投資の効果(リスクの低減効果)は生じない。
  3. ポートフォリオの期待収益率は、組み入れた各資産の期待収益率を組入比率で加重平均した値となる。
  4. ポートフォリオのリスクは、組み入れた各資産のリスクを組入比率で加重平均した値以下となる。



解答

2

解説

1.は適切。ポートフォリオのリスクとは、一般に、組み入れた各資産の損失額の大きさを示すのではなく、そのポートフォリオの期待収益率と実際の収益率の乖離(=ばらつき)の度合いをいいます。

具体的には、分散や標準偏差を使ってばらつきの度合いを測ります。なお、分散や標準偏差が大きい資産ほどリスクが大きく、小さい資産ほどリスクが小さいと判断されます。

2.は不適切。2資産間の相関係数は、2つの資産の値動きの連動性を示す指標です。数値は「+1~-1」で表されます。

2資産間の相関係数が-1である場合、2つの資産の値動きが全く同じになるため、分散投資の効果(リスクの低減)はありません。

  • 相関係数+1:2つの資産の値動きが全く同じ(=分散投資の効果はゼロ)
  • 相関係数0:2つの資産の値動きに規則性なし
  • 相関係数-1:2つの資産の値動きが正反対(=分散投資の効果は最大)

3.は適切。ポートフォリオの期待収益率は、組み入れた各資産の期待収益率を加重平均した値になります。

例えば、A資産の期待収益率が5%、B資産の期待収益率が4%の場合、A資産を60%、B資産を40%の割合で組み入れたポートフォリオの期待収益率は4.6%(=5%×0.6+4%×0.4)になります。

4.は適切。ポートフォリオのリスクは、組み入れた各資産のリスクを組入比率で加重平均した値そのもの、または、加重平均した値よりも小さくなります。

  • 組入資産の相関係数が+1の場合:ポートフォリオのリスクは、組み入れた各資産のリスクを組入比率で加重平均した値そのもの(→分散投資の効果がない)
  • 組入資産の相関係数が+1以外の場合:ポートフォリオのリスクは、組み入れた各資産のリスクを組入比率で加重平均した値よりも小さくなる(→分散投資の効果がある)

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