四択問題
分野:タックス
会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 役員が会社に無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、その役員の雑所得の収入金額となる。
- 役員が所有する土地を会社に無償で譲渡した場合、会社は、適正な時価を受贈益として益金の額に算入する。
- 役員が会社の所有する社宅に無償で居住している場合、通常の賃貸料相当額について、その役員の給与所得の収入金額に算入されない。
- 会社が所有する資産を役員に譲渡し、その譲渡対価が適正な時価の2分の1未満であった場合、適正な時価相当額が、その役員の給与所得の収入金額となる。
解答
2
解説
1.は不適切。役員が会社に対して無利息で金銭の貸し付けた場合、その行為が必ずしも営利目的とは言えないため、原則として役員には課税されません。
一方、会社が役員に対して無利息で金銭の貸し付けた場合、通常の利子との差額は給与とみなされるため、原則としてその役員の給与所得の収入金額に算入します。
例えば、会社が無利子で役員に対して600万円を貸し付けた場合、通常の利子が1%とすると…通常の利子との差額6万円(=600万円×1%-0円)が給与所得とみなされ課税されます。
無利息で金銭を貸し付けた場合
- 会社→役員:通常の利子との差額が役員に課税される
- 役員→会社:役員には課税されない
2.は適切。例えば、役員が所有する土地(適正な時価は1,500万円)を会社に無償で譲渡した場合、時価1,500万円を受贈益として処理し、益金に算入します(※この1,500万円は法人税の課税対象になります)。
3.は不適切。会社が所有する社宅に役員が無償で居住している場合、適正な賃料相当額が役員給与として取り扱われます。
例えば、会社が所有する社宅(適正な賃料は11万円)に役員が無償で居住している場合、適正な賃料11万円が役員給与として取り扱われます(※この11万円は所得税の課税対象になります)。
4.は不適切。会社が所有する資産を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合、(その譲渡価額が適正な時価の2分の1未満であったかどうかに関係なく)その譲渡価額と適正な時価との差額を、その役員の給与所得の収入金額に算入します。
例えば、会社が所有する土地(適正な時価は1,500万円)を役員に600万円で譲渡した場合、時価と譲渡価額との差額900万円は給与とみなされるため、原則としてその役員の給与所得の収入金額に算入します。
売主 | 役員 | 会社 | |
買主 | 会社 | 役員 | |
譲渡価額 | 時価の2分の1以上 | 時価の2分の1未満 | 時価未満 |
売主 | 譲渡価額と取得費等 の差額が譲渡所得 (通常の計算) |
時価と取得費等 の差額が譲渡所得 (みなし譲渡) |
時価と帳簿価額 の差額は売却益 (売却価額は時価) |
買主 | 譲渡価額と時価の差額は受贈益 (取得価額は時価) |
時価と譲渡価額 の差額は給与所得 |
田口先生
本問は、2019年5月試験の第40問や2021年1月試験の第39問とほとんど同じ問題です!
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