2021年9月試験

FP2級 学科試験 2021年9月 問26(過去問解説)

四択問題

分野:金融

外貨預金の一般的な仕組みと特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 外貨預金には、普通預金、定期預金および貯蓄預金などがあり、外貨普通預金は、預入期間の定めがなく、金融機関の営業時間内でいつでも預入れや引出しを行うことができる。
  2. 外貨預金の払戻し時において、預金者が外貨を円貨に換える場合に適用される為替レートは、預入金融機関が提示する対顧客直物電信売相場(TTS)である。
  3. 為替先物予約を締結していない外貨定期預金の満期時の為替レートが預入時の為替レートに比べて円安になれば、当該外貨定期預金に係る円換算の投資利回りは向上する。
  4. 外貨定期預金の預入期間中に為替先物予約を締結し、満期時に為替差益が生じた場合、当該為替差益は、雑所得として総合課税の対象となる。



解答

2

解説

1.は適切。外貨普通預金は、期間の定めのない外国通貨建て預金です。金融機関の営業時間内でいつでも預入れや引出しを行うことができます。

2.は不適切。為替レートには「TTS(対顧客電信売相場)」「TTM(仲値)」「TTB(対顧客電信買相場)」の3種類があります。

  • TTS(対顧客電信売相場)とは、「Telegraphic Transfer Selling rate」の略語です。金融機関が顧客に外貨を売って円を買う時に使う為替レートです。
  • TTM(仲値)とは、「Telegraphic Transfer Middle rate」の略語です。TTS・TTBの基準となる為替レートで、TTSとTTBのちょうど中間の値になります。
  • TTB(対顧客電信買相場)とは、「Telegraphic Transfer Buying rate」の略語です。金融機関が顧客から外貨を買って円を売る時に使う為替レートです。

よって、預金者が外貨を円貨に換える場合に適用される為替レートは、預入金融機関が提示する対顧客直物電信売相場(TTS)ではなく対顧客電信買相場(TTB)になります。

3.は適切。為替先物予約を締結していない外貨定期預金の満期時の為替レートが預入時の為替レートに比べて円安になった場合、日本円での価値が増加するため円換算の運用利回りは上昇します。

例えば、1ドル100円のときに1年満期の定期預金(年利率5%)に10,000ドルを預けた場合、1年後の満期時に「元本10,000ドル」と「利息500ドル」の合計10,500ドルを受け取ることができます。

預入時と満期時の為替レートが同じ(1ドル100円)だった場合、円換算額は1,050,000円(=10,500ドル×@100円)になり、円換算額の運用利回りは年5.00%になります。

仮に、満期時の為替レートが預入時よりも円安(1ドル110円)になっていた場合、円換算額は1,155,000円(=10,500ドル×@110円)になり、円換算額の運用利回りは年11.55%になります。

4.は適切。外貨定期預金の為替差益の課税関係については「為替予約を締結しなかった場合」「預入時に為替予約を締結した場合」「預入期間中に為替予約を締結した場合」の3パターンを押さえておきましょう。

為替差益の課税関係
  • 為替予約を締結しなかった場合:雑所得として総合課税の対象
  • 預入時に為替予約を締結した場合:源泉分離課税の対象
  • 預入期間中に為替予約を締結した場合:雑所得として総合課税の対象

FP2級 過去問解説 全問リスト

【試験回別】過去問解説
FP2級 過去問解説

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です