2019年1月試験

FP2級 学科試験 2019年1月 問16(過去問解説)

四択問題

分野:リスク

契約者(=保険料負担者)を法人、被保険者を役員とする生命保険契約の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとし、いずれも保険料は毎月平準払いで支払われているものとする。

  1. 給付金受取人が法人である医療保険の入院給付金は、全額を雑収入として益金の額に算入する。
  2. 死亡保険金受取人が法人である終身保険を解約して受け取った解約返戻金は、全額を雑収入として益金の額に算入する。
  3. 死亡保険金受取人および満期保険金受取人が法人である養老保険の支払保険料は、全額が資産に計上される。
  4. 死亡保険金受取人が法人である長期平準定期保険においては、保険期間のうち所定の前払期間までは支払保険料の一部を資産に計上し、前払期間経過後は資産に計上された累積額をその期間の経過に応じ取り崩して損金の額に算入することができる。



解答

2

解説

1.は適切。給付金受取人が法人である医療保険は、保険料の支払いにあたって全額を支払保険料として損金の額に算入します。よって、法人が医療保険の入院給付金を受け取ったさいには、全額を雑収入として益金の額に算入します。

保険料支払時の仕訳
(借)支払保険料 ***
 (貸)現金預金など ***
保険金受取時の仕訳
(借)現金預金など ***
 (貸)雑収入 ***

2.は不適切。法人が終身保険の解約返戻金を受け取ったさいには、解約返戻金とそれまでに資産計上していた保険料積立金との差額を雑収入または雑損失として計上します。

保険料支払時の仕訳
(借)保険料積立金 ***
 (貸)現金預金など ***
保険金受取時の仕訳(解約返戻金>保険料積立金の場合)
(借)現金預金など ***
 (貸)保険料積立金 ***
 (貸)雑収入 ***
保険金受取時の仕訳(解約返戻金<保険料積立金の場合)
(借)現金預金など ***
(借)雑損失 ***
 (貸)保険料積立金 ***

3.は適切。なお、死亡保険金受取人が役員・従業員の遺族で、満期保険金受取人が法人の養老保険(2分の1養老保険またはハーフタックスプラン)は、保険料の半分を資産(保険料積立金)に計上し、もう半分を損金(福利厚生費)に算入します。

養老保険の保険料支払時の仕訳
(借)保険料積立金 ***
 (貸)現金預金など ***
2分の1養老保険(ハーフタックスプラン)の保険料支払時の仕訳
(借)保険料積立金 ***
(借)福利厚生費 ***
 (貸)現金預金など ***

4.は適切。保険期間の前半6割相当期間は、保険料の半分を資産(前払保険料)に計上し、もう半分を損金(定期保険料)に算入します。

前半6割相当期間の仕訳
(借)前払保険料 ***
(借)定期保険料 ***
 (貸)現金預金など ***

保険期間の後半4割相当期間は、保険料の全額を損金(定期保険料)に算入するとともに、前半の6割相当期間において資産計上した前払保険料の金額を、残りの期間で按分して損金(定期保険料)に算入します。

後半4割相当期間の仕訳
(借)定期保険料 ***
 (貸)現金預金など ***
(借)定期保険料 ***
 (貸)前払保険料 ***

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