2020年1月試験

FP2級 学科試験 2020年1月 問56(過去問解説)

四択問題

分野:相続

遺産分割に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 共同相続された預貯金は遺産分割の対象となり、相続開始と同時に当然に法定相続分に応じて分割されるものではない。
  2. 代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる分割方法である。
  3. 相続財産である不動産を、共同相続人間で遺産分割するために譲渡して換価した場合、その譲渡による所得は、所得税において非課税所得とされている。
  4. 被相続人は、遺言によって、相続開始の時から10年間、遺産の分割を禁ずることができる。



解答

1

解説

1.は適切。最高裁判所は、1954年に「共同相続された預貯金は遺産分割の対象となり、相続開始と同時に当然に法定相続分に応じて分割される」という判断を示していました。

しかし、2016年12月に最高裁判所は「共同相続された預貯金は遺産分割の対象となり、相続開始と同時に当然に法定相続分に応じて分割されるものではない。」という、これまでとは真逆の判断を示しました。

2.は不適切。遺産分割の方法には「現物分割」「共有分割」「換価分割」「代償分割」の4種類があります。

  • 現物分割:遺産の現物を相続人で分割する方法
  • 共有分割:遺産の現物をそのまま複数の相続人で共有する方法
  • 換価分割:遺産の全部または一部を現金化して、そのお金を相続人で分割する方法
  • 代償分割:相続人の1人が遺産の現物を相続し、他の相続人に対して各相続分に相当する財産を支払う方法

遺産分割の方法には制限がないため、現物分割を困難とする事由がない場合であっても、家庭裁判所の審判を受けることなく代償分割を選択することができます。

3.は不適切。相続財産である不動産を、共同相続人間で遺産分割するために譲渡して換価した場合、相続開始時にこの不動産を第三者に譲渡したものとみなされます。

よって、その譲渡による所得は所得税(譲渡所得)の課税対象になります。

4.は不適切。相続開始から5年以内の期間であれば、遺言により遺産の分割を禁止できる旨が民法で定められています。

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