分野:リスク

四択問題

 契約者(=保険料負担者)を法人とする損害保険に係る保険料等の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 法人が所有する建物を対象とする長期の火災保険に加入し、保険料を一括で支払った場合、支払った保険料のうち当該事業年度に係る部分を損金の額に算入することができる。
  2. 法人が所有する業務用自動車が交通事故で全損となり、受け取った自動車保険の車両保険の保険金で同一事業年度内に代替車両を取得した場合、所定の要件に基づき圧縮記帳が認められる。
  3. 業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金が保険会社から従業員の遺族へ直接支払われた場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金の額に算入することができる。
  4. 積立普通傷害保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、いずれも全額を益金の額に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を取り崩して損金の額に算入することができる。

解答

3

解説

 1.は適切。法人が所有する建物を対象とする長期の火災保険に加入し、保険料を一括で支払った場合、損金の額に算入することができるのは当該事業年度にかかる分だけです。

 たとえば、期首に3年分の保険料を支払った場合、当期の損金の額に算入できるのは1年分だけで、翌年度以降にかかる2年分を損金の額に算入することはできません。

  • 期首に3年分の保険料を支払った場合
    • 1年目:1年分を損金の額に算入
    • 2年目:1年分を損金の額に算入
    • 3年目:1年分を損金の額に算入

 2.は適切。受け取った保険金で新たに固定資産を購入した場合、課税を次期以降に繰り延べる効果のある圧縮記帳を行うことが認められています。

購入時の仕訳
(借)車両 ***
 (貸)現金預金など ***
圧縮記帳に関する仕訳
(借)固定資産圧縮損 ***
 (貸)車両 ***

 3.は不適切。業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金を従業員の遺族が保険会社から受け取った場合、法人にお金が入ってくるわけではないので、法人側の経理処理は不要です。

 4.は適切。受け取った満期返戻金・契約者配当金と資産計上していた積立保険料の累計額との差額が、法人税の課税対象になります。

保険料支払時の仕訳
(借)保険料積立金 ***
 (貸)現金預金など ***
返戻金・配当金受取時の仕訳
(借)現金預金など ***
 (貸)保険料積立金 ***
 (貸)雑収入 ***

 仮に、積立普通傷害保険の満期返戻金と契約者配当金の合計が1億円、資産計上していた積立保険料の累計額が6,000万円だった場合、(雑収入として処理する)差額の4,000万円が法人税の課税対象になります。

満期返戻金受取時の仕訳(※上記のケース)
(借)現金預金など 100,000,000
 (貸)保険料積立金 60,000,000
 (貸)雑収入 40,000,000