2019年1月試験

FP2級 学科試験 2019年1月 問58(過去問解説)

四択問題

分野:相続

相続税における取引相場のない株式の評価に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 配当還元方式による株式の価額は、その株式の1株あたりの年配当金額を5%で還元した元本の金額によって評価する。
  2. 会社規模が小会社である会社の株式の原則的評価方式は、純資産価額方式であるが、納税義務者の選択により、類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式で評価することもできる。
  3. 類似業種比準価額を計算する場合の類似業種の株価は、課税時期の属する月以前3か月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いものとするが、納税義務者の選択により、課税時期の属する月以前3年間の類似業種の平均株価によることもできる。
  4. 純資産価額を計算する場合の「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」の計算上、法人税等の割合は、40%となっている。



解答

2

解説

取引相場のない株式の評価方法には「類似業種比準方式」「純資産価額方式」「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式」「配当還元方式」の4種類があります。

  • 原則的評価方式
    • 類似業種比準方式:上場している類似企業の株価をベースに、1株あたりの配当額・利益額・簿価純資産額を加味して、取引相場のない株式の1株あたりの評価額を計算する方法。
    • 純資産価額方式:会社の純資産の価額を相続税の評価額(=時価)で評価し、その金額を発行済み株式数で除することにより、取引相場のない株式の1株あたりの評価額を計算する方法。
    • 併用方式:類似業種比準方式と純資産価額方式を併用して、取引相場のない株式の1株あたりの評価額を計算する方法。
  • 特例的評価方式
    • 配当還元方式:配当金額をベースにして、取引相場のない株式の1株あたりの評価額を計算する方法。

1.は不適切。配当還元方式による株式の価額は、その株式の1株あたりの年配当金額を10%で還元した元本の金額によって評価します。

2.は適切。会社規模に応じた評価方式の概要(原則・容認)は以下のとおりです。

原則
  • 大会社:類似業種比準方式
  • 中会社:類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式
  • 小会社:純資産価額方式
容認
  • 大会社:純資産価額方式
  • 中会社:純資産価額方式
  • 小会社:類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式

3.は不適切。類似業種比準価額を計算する場合の類似業種の株価は、課税時期の属する月以前3か月間の各月の類似業種の株価のうち最も低いものとしますが、納税義務者の選択により、類似業種の前年平均株価や課税時期の属する月以前2年間の平均株価によることもできます。

類似業種の株価(※最も低いもの)
  • 課税時期の属する月の類似業種の株価
  • 課税時期の属する前月の類似業種の株価
  • 課税時期の属する前々月の類似業種の株価
  • 類似業種の前年平均株価、課税時期の属する月以前2年間の平均株価

4.は不適切。「評価差額に対する法人税額等に相当する金額」を計算するさいの法人税の実効税率は、(現時点では)37%となっています。

この税率は、改正により少しずつ引き下げられています(42%→40%→38%→37%)。

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