四択問題
分野:金融
固定利付債券の利回り(単利・年率)と市場金利の変動との関係に関する次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、手数料、経過利子、税金等については考慮しないものとする。
表面利率が0.3%、償還年限が10年の固定利付債券(以下「債券A」という)が額面100円あたり100円で新規に発行された。発行から3年後に中央銀行の金融政策により市場金利が上昇したのに連動して債券Aの最終利回りも0.5%に上昇した。このとき、債券Aを新規発行時に購入し、償還まで保有する場合の応募者利回りは0.3%( ア )。また、債券Aを新規発行時に購入し、発行から3年後に売却する場合の所有期間利回りは0.3%( イ )。
- (ア)で変わらない ・(イ)よりも低くなる
- (ア)よりも高くなる ・(イ)よりも低くなる
- (ア)で変わらない ・(イ)で変わらない
- (ア)よりも高くなる ・(イ)で変わらない
解答
1
解説
利回りの計算問題はFP2級の頻出論点のひとつです。
よく問われる「直接利回り」「応募者利回り」「最終利回り」「所有期間利回り」の4つについては、計算式を完ぺきに覚えておきましょう。
- 直接利回り=表面利率/購入単価×100
- 応募者利回り={表面利率+(額面単価-購入単価)/償還期限}/購入単価×100
- 最終利回り={表面利率+(額面単価-購入単価)/残存年数}/購入単価×100
- 所有期間利回り={表面利率+(売却単価-購入単価)/所有期間}/購入単価×100
本問では「応募者利回り」と「所有期間利回り」が問われているので、上記の計算式に数字を当てはめて2つの利回りを計算しましょう。
応募者利回り={0.3+(100-100)/10}/100×100=0.3%
応募者利回りは市場金利の変動の影響を受けないため、債券Aを新規発行時に購入し、償還まで保有する場合の応募者利回りは0.3%で変わりません。
所有期間利回り={0.3+(売却価格-100)/3}/100×100=?
問題文の「発行から3年後に中央銀行の金融政策により市場金利が上昇したのに連動して債券Aの最終利回りも0.5%に上昇した」から、市場金利の上昇にともない債券価格が下落し、結果的に債券利回りが上昇したことが分かります。
本問は売却価格が明らかにされていないため、正確な所有期間利回りを計算することはできません。ただし、市場金利の上昇によって債券価格が下落していることから、売却単価が購入単価100円よりも低くなっていることは分かります。
つまり、正確な数字は分からないものの所有期間利回りの計算式の「(売却価格-100)/3」の部分がマイナスになることは間違いないため、債券Aを新規発行時に購入し、発行から3年後に売却する場合の所有期間利回りは0.3%よりも低くなります。