四択問題
分野:ライフ
国民年金および厚生年金に係る「財政の現況及び見通し」(いわゆる財政検証)に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
- 政府は、少なくとも( ア )ごとに、保険料、国庫負担の額、保険給付に要する費用の額などの現況および見通しを作成しなければならない。
- 「財政の現況及び見通し」は、作成する年以降おおむね100年を財政均衡期間と定め、収入と支出のバランスをとる期間としているが、そのバランスをとるために年金の給付水準を調整する仕組みが( イ )である。
- 一定の条件を満たす夫婦2人を想定した世帯が受給し始める年金額(いわゆるモデル年金)の現役男子の平均手取り収入額に対する割合である所得代替率が( ウ )を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保することが求められている。
- (ア)3年 ・ (イ)物価スライド ・ (ウ)100分の50
- (ア)5年 ・ (イ)マクロ経済スライド ・ (ウ)100分の50
- (ア)3年 ・ (イ)マクロ経済スライド ・ (ウ)100分の60
- (ア)5年 ・ (イ)物価スライド ・ (ウ)100分の60
解答
2
解説
国民年金および厚生年金にかかる公的年金制度は、長期間に渡ってずっと使い続けていくことが前提となっているため、厚生年金保険法および国民年金法の規定により、少なくとも5年ごとに、現況及び見通し(財政検証)を作成する必要があります。
規定では「少なくとも5年ごと」となっているため、5年未満でタイミングで作成・公表することも可能ですが、実際は「2004年(平成16年)→2009年(平成21年)→2014年(平成26年)→2019年(令和元年)」ときっちり5年ごとに作成・公表されています。
「財政の現況及び見通し」は、作成する年以降おおむね100年を財政均衡期間と定め、収入と支出のバランスをとる期間としていますが、そのバランスをとるために年金の給付水準を自動的に調整する仕組みをマクロ経済スライドといいます。
年金の給付額は賃金・物価の変動に応じて毎年改定されますが、賃金・物価が上がったからといって同じ比率だけ年金の給付額を上げてしまうと、100年にわたって年金財政の均衡を保つことができなくなってしまいます。
そこで、2004年から賃金・物価の上昇率をそのまま給付額に当てはめるのではなく、上昇率からマクロ経済スライド分を差し引いたうえで給付額に当てはめる形に変更されました。
年金の給付額の上昇率=賃金・物価の上昇率-マクロ経済スライド
例えば、2019年の賃金・物価の上昇率は約0.6%でしたが、年金の給付額の上昇率は0.6%からマクロ経済スライド分約0.5%を差し引いた約0.1%に抑えられました。
2019年の年金の給付額の上昇率=0.6%-0.5%=0.1%
一定の条件を満たす夫婦2人を想定した世帯が受給し始める年金額(いわゆるモデル年金)の現役男子の平均手取り収入額に対する割合である所得代替率が100分の50を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保することが求められています。
所得代替率というのは、公的年金の給付水準を示す指標です。ちなみに、2019年度の所得代替率は61.7%でした。
所得代替率=夫婦2人を想定した世帯が受給し始める年金額÷現役男子の平均手取り収入額
2019年度の所得代替率=(夫婦2人の基礎年金13.0万円+夫の厚生年金9.0万円)÷現役男子の平均手取り収入額35.7万円=61.7%
次の現況及び見通し(財政検証)までに所得代替率が50%(100分の50)を下回ると見込まれる場合は、50%(100分の50)を上回るための必要な措置を講じる必要があります。