2025年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2025年5月公表 問57(取引相場のない株式)

四択問題

分野:相続

取引相場のない株式の相続税評価に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特定の評価会社の株式には該当しないものとする。

  1. 会社規模が小会社である会社の株式で、中心的な同族株主が取得したものの価額は、原則として、類似業種比準方式によって評価する。
  2. 会社規模の判定上、従業員数が70人以上の会社は、その総資産価額(帳簿価額によって計算した金額)や取引金額の多寡にかかわらず、大会社となる。
  3. 同族株主のいる会社の株式で、同族株主以外の株主が取得したものの価額は、その会社規模にかかわらず、原則として、純資産価額方式によって評価する。
  4. 類似業種比準方式における比準要素は、1株当たりの配当金額、1株当たりの売上高および1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)である。



解答

2

解説

本問は、上場していない会社の相続税評価に関するルールを問う問題です。

非上場株式は市場価格がないため、会社の規模やその株式を取得した人が会社を経営支配できる立場にあるかによって、国税庁が定めた算式に当てはめて画一的に評価額を決定する必要があります。

  1. ✕(不適切):「類似業種比準方式によって評価する」という点が誤りです。正しくは「原則として純資産価額方式によって評価する(または併用方式によって評価する)」です。
    非上場株式を経営権を持つ同族株主が取得した場合、会社の規模によって評価方法が異なります。小会社の場合、会社の資産や負債の実態が評価額に直接反映されやすい純資産価額方式を原則とし、一定割合で類似業種比準方式を組み合わせる併用方式が用いられます。類似業種比準方式を単独で(100%)適用できるのは、上場企業に最も実態が近い大会社のみです。
  2. 〇(適切):記述の通りです。非上場株式の会社規模(大会社・中会社・小会社)は、原則として「従業員数」「総資産価額」「取引金額(売上高)」の3つの指標を組み合わせて判定します。しかし、従業員数が70人以上の会社については、企業としての人的実体が十分に大きいとみなされるため、総資産価額や売上高の金額がどれだけ少なくても、無条件で一番上の大会社として判定されます。
  3. ✕(不適切):「原則として、純資産価額方式によって評価する」という点が誤りです。正しくは「原則として、配当還元方式によって評価する」です。
    同族株主以外の株主(少数株主)は、会社の経営権を持たず、会社を解散して資産を分配させるような権限もありません。そのような株主にとっての株式の価値は、配当金をもらえることだけです。そのため、会社の資産額や規模には一切関係なく、過去の配当金額のみをベースに計算する配当還元方式が適用されます。
  4. ✕(不適切):「1株当たりの売上高」という点が誤りです。正しくは「1株当たりの利益金額」です。
    類似業種比準方式は、評価する会社と事業内容が似ている上場企業の株価をベースに、3つの要素を比較して自社の株価を算定します。その比較要素となるのは、「1株当たりの配当金額」「1株当たりの利益金額」「1株当たりの純資産価額」の3つです。売上高は会社の規模を測る指標にはなりますが、株価を比較する要素には含まれません。

肢①で問われている「会社規模別の評価方法」については、「原則」と「容認」の2つの方式が用意されており、納税者は有利なほうを自由に選ぶことができます

例えば、小会社と判定された場合は、「純資産価額方式」と「類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式」の2つの方法で評価額を算定し、どちらか低いほう(=結果として相続税が安くなるほう)の金額を最終的な評価額とすることができます。大中小の原則と容認はよく問われるので、以下の内容をきちんと押さえておきましょう。

原則
  • 大会社:類似業種比準方式
  • 中会社:類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式
  • 小会社:純資産価額方式
容認
  • 大会社:純資産価額方式
  • 中会社:純資産価額方式
  • 小会社:類似業種比準方式と純資産価額方式の併用方式
田口先生1
田口先生
なぜ大会社ほど「類似業種比準方式」が適用され、小会社ほど「純資産価額方式」が適用されるのでしょうか。
大会社は従業員も多く組織の実態が上場企業に近いため、上場企業の株価を参考にする類似業種比準方式が適していると考えられています。
一方、小会社は上場企業とは程遠く、実態としては「社長個人の資産を会社名義にしているだけ」に近いことが多いため、会社の持っている財産の価値を直接積み上げて計算する純資産価額方式が適していると考えられています。

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