2021年5月試験

FP2級 学科試験 2021年5月 問24(過去問解説)

四択問題

分野:金融

固定利付国債の利回り(単利・年率)と市場金利の変動との関係を説明した次の記述の空欄(ア)、(イ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。なお、手数料、経過利子、税金等については考慮しないものとし、国債のイールドカーブは順イールド(期間が長いものほど利回りが高い)の状況にあるものとする。

表面利率が1.0%、償還期限が5年(満期一括償還)の固定利付国債を発行時に額面100円当たり100円で購入し、1年後に売却した。売却時の市場金利が購入時よりも低下していた場合、通常、当該国債の額面100円当たりの売却価格は100円を( )、当該国債の購入時から売却時までの所有期間利回りは1.0%( )。

  1. (ア)上回り ・ (イ)よりも高くなる
  2. (ア)下回り ・ (イ)で変わらない
  3. (ア)上回り ・ (イ)で変わらない
  4. (ア)下回り ・ (イ)よりも低くなる



解答

1

解説

利回りの計算問題はFP2級の頻出論点のひとつです。

よく問われる「直接利回り」「応募者利回り」「最終利回り」「所有期間利回り」の4つについては、計算式を完ぺきに覚えておきましょう。

  • 直接利回り=表面利率/購入単価×100
  • 応募者利回り={表面利率+(額面単価-購入単価)/償還期限}/購入単価×100
  • 最終利回り={表面利率+(額面単価-購入単価)/残存年数}/購入単価×100
  • 所有期間利回り={表面利率+(売却単価-購入単価)/所有期間}/購入単価×100

本問はまず、問題文の「表面利率が1.0%、償還期限が5年(満期一括償還)の固定利付国債を発行時に額面100円当たり100円で購入し、1年後に売却した。」から、1年前に購入した固定利付国債を売却したことが分かります。

また、問題文の「売却時の市場金利が購入時よりも低下していた場合」から、市場金利の下落にともない債券価格が上昇したことが分かります。

市場金利 → 債券価格 → 債券利回り

よって、( )の部分の記述は「売却時の市場金利が購入時よりも低下していた場合、通常、当該国債の額面100円当たりの売却価格は100円を上回り」になります。

次に、上記の所有期間利回りの計算式に、問題文で与えられている表面利率(1.0%)、購入単価(@100円)、所有期間(1年)を当てはめてみましょう。

所有期間利回り={1.0+(売却価格-100)/1}/100×100=?

本問は売却価格が明らかにされていないため、正確な所有期間利回りを計算することはできません。ただし、市場金利の下落によって債券価格が上昇したことから、売却単価が購入単価100円よりも高くなっていることは分かります。

つまり、正確な数字は分からないものの所有期間利回りの計算式の「(売却価格-100)/1」の部分がプラスになることは間違いないため、計算式の「{1.0+(売却価格-100)/1}」の部分は1.0よりも大きくなります。

よって、( )の部分の記述は「当該国債の購入時から売却時までの所有期間利回りは1.0%よりも高くなる」になります。

田口先生1
田口先生
市場金利が下がれば下がるほど、銀行にお金を預けても利子が付かなくなるため、預金を引き出して債券を購入する人の割合が増えます。その結果、債券の需要が高まって債券価格は上昇します。

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