2022年1月試験

FP2級 学科試験 2022年1月 問39(過去問解説)

四択問題

分野:タックス

会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 会社が所有する建物を適正な時価よりも高い価額で役員に譲渡した場合、譲渡価額と時価の差額が会社の受贈益となる。
  2. 会社が役員に無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、会社の益金の額に算入される。
  3. 役員が会社の所有する社宅に無償で居住している場合、原則として、通常の賃貸料相当額が、役員の給与所得の収入金額に算入される。
  4. 役員が所有する土地を時価の2分の1未満の価額で会社に譲渡した場合、時価の2分の1に相当する金額が役員の譲渡所得の収入金額に算入される。



解答

4

解説

1.は適切。例えば、会社が所有する土地(適正な時価は500万円)を役員に800万円で譲渡した場合、差額の300万円が受贈益として取り扱われます。

2.は適切。会社が役員に対して金銭を無利息で貸し付けた場合、通常の利子との差額は給与とみなされるため、原則としてその役員の給与所得の収入金額に算入します。

例えば、会社が無利子で役員に対して500万円を貸し付けた場合、通常の利子が1%とすると…通常の利子との差額5万円(=500万円×1%-0円)が給与所得とみなされ課税されます。

一方、役員が会社に対して無利息で金銭の貸し付けた場合、その行為が必ずしも営利目的とは言えないため、原則として役員には課税されません。

無利息で金銭を貸し付けた場合
  • 会社→役員:通常の利子との差額が役員に課税される
  • 役員→会社:役員には課税されない

3.は適切。会社が所有する社宅に役員が無償で居住している場合、適正な賃料相当額が役員給与として取り扱われます。

4.は不適切。役員が所有する土地を適正な時価の2分の1未満の価額で会社に譲渡した場合、役員は原則として「実際に譲渡した価額」ではなく、時価で譲渡したものとして譲渡所得が計算されます(=みなし譲渡所得)。

会社・役員間の低廉譲渡にかかる課税関係
売主 役員 会社
買主 会社 役員
譲渡価額 時価の2分の1以上 時価の2分の1未満 時価未満
売主 譲渡価額と取得費等
の差額が譲渡所得
(通常の計算)
時価と取得費等
の差額が譲渡所得

(みなし譲渡)
時価と帳簿価額
の差額は売却益
(売却価額は時価)
買主 譲渡価額と時価の差額は受贈益
(取得価額は時価)
時価と譲渡価額
の差額は給与所得

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