2025年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2025年5月公表 問59(小規模宅地の特例)

四択問題

分野:相続

「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(以下、「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要な要件等はすべて満たしているものとする。

  1. 被相続人と配偶者が同居し、居住の用に供していた宅地を、被相続人と同居していなかった子が相続により取得した場合、その宅地について本特例の適用を受けることはできない。
  2. 被相続人と配偶者が同居し、居住の用に供していた宅地を、配偶者が相続により取得し、その宅地を相続税の申告期限までに第三者に売却した場合、その宅地について本特例の適用を受けることはできない。
  3. 被相続人が居住の用に供していた宅地を、相続開始の直前において被相続人と同居していなかった配偶者が相続により取得した場合、その宅地について本特例の適用を受けることはできない。
  4. 被相続人と配偶者および相続人ではない孫が同居し、居住の用に供していた宅地を、その孫が遺贈により取得した場合、その宅地について本特例の適用を受けることはできない。



解答

1

解説

本問は、相続税の計算において土地の評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例」について、財産を取得した人(配偶者、同居親族、別居親族など)ごとの適用要件の違いを問う問題です。

この特例は、残された家族の生活基盤であるマイホームを税金のために手放す悲劇を防ぐための制度であるため、「誰が取得したか」によって求められる要件(同居の有無、継続所有・居住の縛りなど)の厳しさが異なります。

  1. 〇(適切):記述の通りです。別居している子がこの特例の適用を受けるためには、いわゆる「家なき子の特例」という極めて厳しい要件をクリアする必要があります。その第一の絶対条件が「被相続人に配偶者がいないこと(かつ、同居している法定相続人もいないこと)」です。本肢のように被相続人に配偶者がいるケースでは、その時点で「家なき子の特例」のルートは完全に絶たれるため、別居の子が取得した宅地に特例を適用することはできません。
  2. ✕(不適切):「その宅地について本特例の適用を受けることはできない」という点が誤りです。正しくは「その宅地について本特例の適用を受けることができる」です。
    本特例において、亡くなった人の配偶者は最も手厚く保護されます。配偶者が居住用宅地を取得した場合、取得後の「居住継続要件」や「所有継続要件」は一切問われません。したがって、相続税の申告期限(10か月)を迎える前にその宅地を第三者に売却したり、引っ越した場合であっても、問題なく80%減額の特例を受けることができます。
  3. ✕(不適切):「その宅地について本特例の適用を受けることはできない」という点が誤りです。正しくは「その宅地について本特例の適用を受けることができる」です。
    肢②と同様に、配偶者は無条件で特例の適用を受けられる最強の存在です。これは相続開始後の要件だけでなく、相続開始前の状況についても同様です。単身赴任や老人ホームへの入所、あるいは不仲による別居など、相続開始の直前において同居していなかった場合であっても、配偶者であるという事実だけで特例の適用が認められます。
  4. ✕(不適切):「その宅地について本特例の適用を受けることはできない」という点が誤りです。正しくは「その宅地について本特例の適用を受けることができる」です。
    本特例における同居親族のルートは、取得者が法定相続人であることまでは要求しておらず、親族(6親等内の血族、3親等内の姻族など)であれば認められます。孫は立派な親族であるため、同居していた孫が遺贈で宅地を取得し、申告期限まで居住と所有を継続するなどの要件を満たせば、法定相続人でなくても特例の適用を受けることが可能です。
田口先生1
田口先生
なぜ、同じ特例でも配偶者と別居の子(家なき子)でここまで条件に差があるのでしょうか。それは、配偶者が長年共に生活を営んできたパートナーであり、今後の生活基盤を奪ってはならないという絶対的な保護の必要性があるからです。そのため、別居していようが即座に売却しようが無条件で特例が使えます。
一方で、家なき子の特例は、「一人暮らしの親が亡くなり、賃貸住まいでマイホームを持たない子どもが実家を継ぐしかない」というケースを救済するための例外中の例外です。配偶者が生きているなら、生活の保障として配偶者が実家を相続して特例を使えばよい話であり、別居の子が横から特例枠を奪うような使い方は制度の趣旨から外れるため、厳しく制限されています。

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