2026年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2026年5月公表 問10(資金調達)

四択問題

分野:ライフ

中小企業の資金調達方法の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 企業が金融機関から直接融資を受けて資金を調達する方法は直接金融に分類され、企業が株式や債券の発行により市場を経由して資金を調達する方法は間接金融に分類される。
  2. インパクトローンは、企業が金融機関から外貨建ての融資を受けて資金を調達する方法であり、その資金使途は、海外事業の展開・再編に係るものに限られる。
  3. ABL(アセット・ベースト・レンディング)は、企業が保有する売掛債権や在庫・機械設備等の資産を担保として金融機関から融資を受けて資金を調達する方法である。
  4. 第三者割当増資は、特定の既存株主に限定して新株引受権を与え、新たに株式を発行して資金を調達する方法である。



解答

3

解説

本問は、中小企業における多様な資金調達手法の基本的な定義とそれぞれの実務的な特徴について問う問題です。

  1. ✕(不適切):「直接融資を受けて資金を調達する方法は直接金融に分類され、企業が株式や債券の発行により市場を経由して資金を調達する方法は間接金融に分類される」という点が誤りです。正しくは「直接融資を受けて資金を調達する方法は間接金融に分類され、企業が株式や債券の発行により市場を経由して資金を調達する方法は直接金融に分類される」です。
    資金調達の分類において、金融機関が預金者から集めた資金を貸し出す形態は、間に金融機関が介在するため「間接金融」と定義されます。一方、企業が証券市場等を通じて投資家から直接資金を募る株式や社債の発行は「直接金融」と定義されます。本肢は、用語と内容が真逆になっている典型的な引っかけ問題です。
  2. ✕(不適切):「その資金使途は、海外事業の展開・再編に係るものに限られる」という点が誤りです。正しくは「その資金使途は制限されておらず、原則として自由である」です。
    インパクトローンとは、資金の使途が特定されていない外貨建て融資のことを指します。海外展開のための資金に限らず、国内における事業の運転資金や設備投資の資金としても自由に利用することが認められています。
  3. 〇(適切):記述の通りです。ABL(アセット・ベースト・レンディング/動産・債権担保融資)は、不動産担保や経営者の個人保証に過度に依存しない融資手法です。
    企業が事業活動の中で保有する売掛債権や原材料・商品の在庫、工場の機械設備などの動産の価値を金融機関が評価し、これらを担保として資金を調達する手法として活用されています。
  4. ✕(不適切):「特定の既存株主に限定して新株引受権を与え」という点が誤りです。正しくは「既存株主であるか否かを問わず、特定の第三者に新株引受権を与え」です。
    第三者割当増資は、会社の取引先や業務提携先、自社の役員など、特定の第三者に対して新株を割り当てて資金を調達する増資手法です。本肢のように、既存の株主に対してその持株比率に応じて一律に新株を割り当てる手法は「株主割当増資」といいます。

中小企業の資金調達方法に関しては、上記の他に「信用保証協会保証付融資(マル保融資)」について問われる可能性もあります。試験対策として、以下の3つの要件を押さえておきましょう。

マル保融資の3要件
  • 企業規模(資本金または従業員数)
  • 業種(※主な対象は商工業)
  • 区域・業歴
田口先生1
田口先生
従来の中小企業向け融資では、土地や建物といった不動産を担保として提供することが強く求められてきたため、不動産を持たないサービス業や新興企業は十分な資金調達が難しいという実態がありました。
そこで、企業が日々生み出している売掛金や商品在庫といった事業用資産(動産)に着目し、これを担保として評価することで、不動産を持たない企業であっても事業の実態に応じた融資を受けられるようにしたのが、本問の肢③で問われたABLという手法です。

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