2026年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2026年5月公表 問50(不動産の投資判断)

四択問題

分野:不動産

不動産の投資判断の手法等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. DCF法は、連続する複数の期間に発生する総収入および復帰価格を、その発生時期に応じて現在価値に割り引き、それぞれを合計して対象不動産の収益価格を求める手法である。
  2. NPV法(正味現在価値法)による投資判断においては、対象不動産から得られる収益の現在価値の合計額が投資額の現在価値の合計額を上回っている場合、その投資は投資適格であると判定することができる。
  3. 借入金併用型投資では、対象不動産の収益率が借入金の金利を下回っている場合、レバレッジ効果により、投下した自己資金に対する収益率の向上を期待することができる。
  4. NOI利回り(純利回り)は、対象不動産から得られる年間の総収入を総投資額で除して算出される利回りであり、不動産の収益性を測る指標である。



解答

2

解説

  1. ✕(不適切):「総収入および復帰価格」という点が誤りです。正しくは「純収益および復帰価格」です。
    DCF法(ディスカウント・キャッシュフロー法)は、対象不動産から将来得られる連続した複数の期間のキャッシュ・フローを現在価値に割り引いて評価額を求める手法です。この手法の計算にあたってベースとなるのは、家賃などの総収入から維持管理費などの諸経費を差し引いた残額の純収益です。総収入をそのまま割り引いてしまうと、経費が考慮されず評価額が過大に算出されてしまいます。
  2. 〇(適切):記述の通りです。NPV法(正味現在価値法)は、投資対象から将来得られると見込まれる収益を現在価値に割り引いた合計額と、初期投資額の現在価値の合計額を比較する投資判断手法です。前者の収益の現在価値が後者の投資額を上回っていれば(=NPVがプラスであれば)、その投資は要求する利回りを満たしており、投資適格であると判定されます。
  3. ✕(不適切):「対象不動産の収益率が借入金の金利を下回っている場合」という点が誤りです。正しくは「対象不動産の収益率が借入金の金利を上回っている場合」です。
    借入金を併用して不動産投資を行うさい、物件自体の収益率が借入金の金利(調達コスト)より高ければ、借り入れた資金が生み出した利益から利息を支払っても手元に利益が残るため、自己資金に対する収益率が向上します。これを正のレバレッジ効果と呼びます。
    逆に、物件の収益率が金利を下回ると利息の支払いが収益を圧迫するため、自己資金の収益率を低下させる負のレバレッジ効果が生じます。
  4. ✕(不適切):「対象不動産から得られる年間の総収入」という点が誤りです。正しくは「対象不動産から得られる年間の純収益」です。
    NOI利回り(純利回り)は、不動産投資の実質的な収益力を測る指標です。家賃収入などの総収入から固定資産税や管理費などの運営費用を控除した後の年間純収益(NOI:Net Operating Income)を、総投資額で除して算出します。総収入をそのまま総投資額で除して求めるものは表面利回り(グロス利回り)です。
肢①の補足

収益還元法による不動産価格の算出には、主に「直接還元法」と「DCF法」の2つのアプローチが用いられます。直接還元法は、一定期間の純収益を還元利回りで割り戻すことで、簡便に価格を求める手法です。これに対し、DCF法は、保有期間中に予想される純収益の変動や、将来の売却予想価格(復帰価格)をすべて現在価値に割り引いて足し合わせる精緻な手法です。
DCF法は、将来のキャッシュフローに潜む価格変動リスクを反映できるため、より投資実態に即した精度の高い評価が可能とされています。

肢②の補足

レバレッジ効果は、他人の資本(借入金)を活用することで、限られた自己資金から高い投資効率(利回り)を生み出す仕組みです。投資物件の収益率が5%、借入金利が2%のケースを例に挙げます。この場合、借入金が稼ぐ5%の収益から2%の金利コストを支払っても、差引3%の利ざやが自己資金の利回りを引き上げる要因となります。
しかし、金利上昇によって借入金利が物件収益率を上回った場合、事態は一変します。いわゆる「負のレバレッジ(逆レバレッジ)」へ転落し、自己資本を毀損する重大なリスクへと変わるため、金利変動の監視と厳格なコントロールが不可欠です。

田口先生1
田口先生
不動産投資の判断手法に関する問題は、専門用語が多く受験生が苦手としやすい分野ですが、問われるポイントはある程度決まっています。解答のコツは、各指標の計算のベースが「総収入」なのか「純収益」なのかを正確に区別することです。

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