2026年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2026年5月公表 問32(所得税)

四択問題

分野:タックス

所得税における各種所得に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 会社の役員が役員退職金を一時金として受け取ったことによる所得は、給与所得となる。
  2. 個人年金保険の契約者(=保険料負担者)である個人が、その保険契約に基づく年金を、年金形式に代えて一括で受け取ったことによる所得は、退職所得となる。
  3. 賃貸の用に供している土地を所有する個人が、当該土地を売却したことによる所得は、不動産所得となる。
  4. 専業主婦が金地金を売却したことによる所得は、譲渡所得となる。



解答

4

解説

  1. ✕(不適切):「給与所得となる」という点が誤りです。正しくは「退職所得となる」です。
    会社の役員が退任時に受け取る役員退職金は、長年の勤務に対する慰労の性質や退職後の生活保障としての性質を持つため、給与所得ではなく退職所得に分類されます。退職所得は他の所得と合算せずに分離して税額を計算する申告分離課税の対象になります。
  2. ✕(不適切):「退職所得となる」という点が誤りです。正しくは「一時所得となる」です。
    個人年金保険の満期保険金や解約返戻金を一括で受け取った場合、その利益は使用者との雇用関係に基づく退職給付ではないため、退職所得には該当しません。営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得であり、労務や役務の対価としての性質を持たない一時の所得であることから、一時所得に分類されます。
  3. ✕(不適切):「不動産所得となる」という点が誤りです。正しくは「譲渡所得となる」です。
    土地や建物を貸し付けることによって継続的に得られる賃料収入は不動産所得に分類されます。本肢のように、元々賃貸の用に供していた土地であっても、その土地自体を売却(譲渡)して得た利益は、資産の移転による所得であるため譲渡所得に分類されます。
  4. 〇(適切):記述の通りです。金地金(ゴールド)の売却による所得は、資産の譲渡による所得であるため、原則として譲渡所得に分類されます。購入価格と売却価格の差額から特別控除額(最高50万円)を差し引いて、譲渡所得の額を計算します。
肢①の補足

退職金は、長年の労働に対する給与の後払い的な性格と、老後の生活保障としての性格という2つの性質を併せ持っています。これを通常の給与所得と同じように総合課税の対象にしてしまうと、長年かけて蓄積された所得に対して退職した年に一度に高い超過累進税率が適用され、結果として税負担が過大になってしまいます。
そのため、所得税法では退職所得を他の所得と切り離す申告分離課税の対象とし、さらに勤続年数に応じた退職所得控除を差し引いた上で、さらにその残額を2分の1にしてから税率を掛けるという、納税者にとって極めて有利な計算ルールが規定されています。

肢②の補足

個人年金保険かかる所得は、受け取る方法によって所得区分が変わります。年金形式(分割)で受け取る場合は、公的年金等以外の「雑所得」として毎年総合課税されます。一方、本肢のように一時金で受け取る場合は、一時的な性質の利益として「一時所得」に区分されます。一時所得には最高50万円の特別控除があり、さらにその残額を2分の1にした金額だけが他の所得と合算されます。

田口先生1
田口先生
退職一時金を受け取った退職者が、「退職所得の受給に関する申告書」を提出している場合、上記の「肢①の補足」で紹介した手順で計算した適正な税額が源泉徴収されます。
一方、退職一時金を受け取った退職者が、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していなかった場合、勤続年数にかかわらず、退職一時金の支給額の20.42%が源泉徴収されます。その後、確定申告をして適正な税額との差額を精算します。

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