2026年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2026年5月公表 問52(配偶者控除)

四択問題

分野:相続

贈与税の配偶者控除(以下、「本控除」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 本控除の適用を受けるためには、贈与を受けた時点で、贈与者である配偶者との婚姻期間が20年以上でなければならない。
  2. 本控除の適用を受けるにあたって、配偶者から贈与を受ける財産の種類や金額に制限はない。
  3. 過去に本控除の適用を受けたことがある場合、その後、同一の配偶者から贈与を受けても、再び本控除の適用を受けることはできない。
  4. 本控除の適用を受ける場合、贈与税額の計算上、贈与税の課税価格から、基礎控除額と合わせて最高で2,110万円を控除することができる。



解答

2

解説

  1. 〇(適切):記述の通りです。本控除の適用を受けるためには、財産の贈与を受けた日において、贈与者である配偶者との婚姻期間が20年以上でなければなりません。なお、この婚姻期間には事実婚の期間は含まれず、戸籍上の届出を行っている法律上の婚姻期間のみで判定されます。
  2. ✕(不適切):「配偶者から贈与を受ける財産の種類や金額に制限はない」という点が誤りです。正しくは「贈与を受ける財産は居住用不動産またはその取得資金に限られ、本控除の限度額は2,000万円である」です。
    どのような財産でも非課税になるわけではなく、夫婦の生活の拠点となる国内の居住用不動産、あるいはそれを取得するための金銭であることが適用の必須条件です。また、無制限に控除されるわけではなく、控除できる金額には上限が設けられています。
  3. 〇(適切):記述の通りです。本控除は、同一の配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。過去にこの特例を受けたことがある場合、たとえ別の不動産であったとしても、同じ配偶者からの贈与で二度目の適用を受けることは不可能です。
  4. 〇(適切):記述の通りです。贈与税の配偶者控除の限度額は2,000万円ですが、これは暦年課税の基礎控除額である110万円と併用することが認められています。したがって、両者を合わせることで、贈与税の計算上、課税価格から最高で2,110万円を控除することができます。
贈与税の配偶者控除について

贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上の夫婦間で、居住用不動産またはその取得資金の贈与が行われた場合に、通常の基礎控除(110万円)とは別に、課税価格から最高2,000万円を控除できる特例制度です。
長年連れ添った配偶者の居住の安定や、将来の生活保障を図る目的で設けられています。本控除の適用対象は、居住用不動産またはその取得資金に限定されており、贈与を受けた年の翌年3月15日までに実際に居住し、その後も引き続き居住する見込みであることなどが要件になっています。
また、本特例の適用により贈与税額がゼロになる場合であっても、期限内に贈与税の申告書を提出することが適用の必須要件として定められています。

肢①の補足

贈与税の配偶者控除では「婚姻期間20年以上」という厳格な期間要件が課されますが、相続税の「配偶者に対する相続税額の軽減」には婚姻期間の要件はありません。これは、相続が人の死という予期せぬ事実によって発生するのに対し、生前贈与は当事者の意思で時期を自由に選べるためです。もし贈与に婚姻期間の要件がなければ、短期間の結婚と財産贈与を繰り返すような租税回避が行われかねません。こうした行為を防ぐ目的で、生前贈与にのみ長期の婚姻期間要件が課されています。

田口先生1
田口先生
贈与税の配偶者控除が創設された背景には、長年にわたる婚姻期間中の財産形成に対する配偶者の貢献度を評価し、生存配偶者の生活基盤を保障するという確固たる趣旨があります。この制度の趣旨に鑑み、本特例の対象財産は厳格に制限されています。
例えば、居住の安定に直接寄与しない株式や、居住用不動産の取得以外にも費消可能な使途不特定の現金などは適用対象外とされています。財産移転の対象を「居住用不動産またはその取得資金」に限定することで、制度の趣旨に沿った財産移転のみを優遇する設計になっています。

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