四択問題
分野:不動産
借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第22条の借地権を一般定期借地権といい、第23条の借地権を事業用定期借地権等という。
- 一般定期借地権を設定する場合、その存続期間を30年とすることができる。
- 事業の用に供する建物の所有を目的として、一般定期借地権を設定することはできない。
- 事業用定期借地権等の設定を目的とする契約は、書面によってなされたものであれば有効であり、公正証書によってする必要はない。
- 第三者が賃借権の目的である土地の上の建物を取得した場合において、借地権設定者が賃借権の譲渡または転貸を承諾しないときは、その第三者は、借地権設定者に対し、当該建物の買取りを請求することができる。
解答
4
解説
- ✕(不適切):「その存続期間を30年とすることができる」という点が誤りです。正しくは「その存続期間は50年以上としなければならない」です。
一般定期借地権は、契約の更新がなく、期間満了時に更地にして返還することを条件とする借地権です。借地人が長期間安定して土地を利用できるよう、存続期間は50年以上で設定することが法律で義務付けられており、30年や40年といった短い期間で契約することは認められていません。 - ✕(不適切):「事業の用に供する建物の所有を目的として、一般定期借地権を設定することはできない」という点が誤りです。正しくは「事業の用に供する建物の所有を目的としても、一般定期借地権を設定することができる」です。
一般定期借地権は、存続期間が50年以上などの一定の要件を満たせば、土地の上に建てる建物の利用目的に制限は設けられていません。そのため、居住用の住宅だけでなく、店舗や商業ビルなどの事業用建物の所有を目的として設定することも可能です。 - ✕(不適切):「書面によってなされたものであれば有効であり、公正証書によってする必要はない」という点が誤りです。正しくは「必ず公正証書によって契約を締結しなければならない」です。
事業用定期借地権等は、専ら事業用の建物を目的とし、存続期間が10年以上50年未満と設定される借地権です。企業の撤退や倒産などによる中途解約のトラブルを防ぎ、当事者間の合意内容を明確に残すため、公正証書による契約締結が成立要件とされています。単なる書面による契約は無効になります。 - 〇(適切):記述の通りです。借地上の建物を譲渡や競売などで取得した第三者が、その敷地を利用するために地主(借地権設定者)から借地権の譲渡や転貸の承諾を得られない場合、その第三者は地主に対して、当該建物を時価で買い取るよう請求することができます。これを第三者の建物買取請求権といいます。
肢③の補足
定期借地権は、その種類によって契約の法的要件(方式)が異なります。
- 一般定期借地権:「書面(電磁的記録を含む)」による契約が義務付けられていますが、公正証書による作成までは要求されません。
- 事業用定期借地権等:事業活動に伴い権利関係が複雑になりやすく、後日の紛争を防ぐ必要性が高いため、より厳格な証拠力を有する公正証書による契約が必須要件です。
- 建物譲渡特約付借地権:契約の方式に特段の法的な制限はなく、書面だけでなく口頭による契約であっても有効に成立します。
肢④の補足
借地上の建物を第三者が取得した場合、その建物を継続して利用するためには、地主の承諾を得て借地権を譲り受ける必要があります。万が一、地主がこの譲渡を承諾しない場合、原則として第三者は建物を収去して土地を明け渡さなければならず、社会経済的な損失が生じます。
そこで借地借家法では、地主が承諾を与えない場合の救済策として、地主に建物を時価で買い取らせる権利(建物買取請求権)を買い手に認め、建物の存続と価値の保護を図っています。
| 一般定期借地権 | 事業用定期借地権 | 建物譲渡特約付借地権 | |
|---|---|---|---|
| 契約期間 | 50年以上 | 10年以上~50年未満 | 30年以上 |
| 利用目的 | 制限なし | 事業用のみ | 制限なし |
| 契約方法 | 書面 | 公正証書 | 制限なし |
田口先生
建物譲渡特約付借地権とは、借地権を30年以上の期間で設定し、期間満了時に地主が借地人から借地上の建物を相当の対価で買い取ることで借地権を消滅させる契約です。
建物の譲渡により建物譲渡特約付借地権が消滅した場合において、当該建物の使用を継続する賃借人が借地権設定者に対して請求をしたときには、賃借人と借地権設定者との間で期間の定めのない建物の賃貸借がされたものとみなされます。
建物の譲渡により建物譲渡特約付借地権が消滅した場合において、当該建物の使用を継続する賃借人が借地権設定者に対して請求をしたときには、賃借人と借地権設定者との間で期間の定めのない建物の賃貸借がされたものとみなされます。
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