2026年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2026年5月公表 問5(在職老齢年金)

四択問題

分野:ライフ

在職老齢年金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 厚生年金保険の被保険者に支給される老齢厚生年金は、当該被保険者の総報酬月額相当額と基本月額の合計額が支給停止調整額を超える場合、在職老齢年金の仕組みにより、その超える金額が支給停止となる。
  2. 在職老齢年金の仕組みにより老齢厚生年金の全部が支給停止される場合、老齢基礎年金の支給も停止される。
  3. 厚生年金保険の被保険者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をする場合、老齢厚生年金の年金額のうち、在職老齢年金の仕組みにより支給停止となる部分の金額は、支給を繰り下げたことによる増額の対象とならない。
  4. 厚生年金保険の適用事業所に常時使用される70歳以上の者に支給される老齢厚生年金は、在職老齢年金の仕組みによる支給調整は行われない。



解答

3

解説

本問は、働きながら厚生年金を受け取るさいに、給与等の収入額に応じて年金の一部または全部が支給停止となる「在職老齢年金」のルールについて問う問題です。

  1. ✕(不適切):「その超える金額が支給停止となる」という点が誤りです。正しくは「その超える金額の2分の1が支給停止となる」です。
    在職老齢年金制度において、給与と賞与を1か月あたりに換算した総報酬月額相当額と、年金の1か月分である基本月額の合計が一定の基準額を超えた場合、年金が減額されます。しかし、超えた金額の全額がそのまま没収されるわけではなく、基準額を超えた金額の半分(2分の1)が支給停止になります。就労意欲を過度に削ぐことがないよう配慮されています。
  2. ✕(不適切):「老齢基礎年金の支給も停止される」という点が誤りです。正しくは「老齢基礎年金の支給は停止されない」です。
    在職老齢年金の対象となるのは、あくまで会社員として加入していた老齢厚生年金の部分のみです。国民年金から支給される1階部分の老齢基礎年金については、給与や賞与をどれだけ多く受け取っていても、在職老齢年金による支給停止の対象にはならず、全額が支給されます。
  3. 〇(適切):記述の通りです。老齢厚生年金の受給開始時期を遅らせる「繰下げ支給」を行うと、1か月遅らせるごとに年金額が0.7%増額されます。ただし、働きながら繰下げ待機をしている期間中に、在職老齢年金の制度によって「本来であれば支給停止の対象となる部分」については、増額の計算対象から除外されます。支給停止対象額も含めてすべて増額されると、高所得者ほど年金の増え幅が大きくなり不公平が生じるため、このような調整が行われます。
  4. ✕(不適切):「在職老齢年金の仕組みによる支給調整は行われない」という点が誤りです。正しくは「70歳以上の者でも、在職老齢年金の仕組みによる支給調整が行われる」です。
    厚生年金保険の被保険者資格は原則として70歳で喪失するため、70歳以降は厚生年金保険料を負担することはありません。しかし、70歳以降も引き続き厚生年金の適用事業所で働く場合、保険料の負担はなくなっても、給与等の金額に応じた在職老齢年金による年金の支給停止は継続して適用されます。
田口先生1
田口先生
在職老齢年金において老齢厚生年金のみが支給停止の対象となり、老齢基礎年金が対象外となる理由は、それぞれの年金の性質の違いにあります。
厚生年金は現役時代の報酬に比例して保険料や給付額が決まる制度であるため、現在の就労による報酬額との調整になじみます。一方で国民年金は、国民共通の基礎的な生活保障を目的とし、所得に関係なく一律の保険料を納め、定額の給付を受ける制度です。報酬と連動しない給付である国民年金を、就労による報酬の多寡を理由に減額することは制度の目的にそぐわないため、調整の対象から除外されています。

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