四択問題
分野:金融
金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(以下、「金融サービス提供法」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 金融サービス提供法において、金融サービス仲介業者の登録を受けた事業者は、銀行業・金融商品取引業・保険業・貸金業に係る金融サービスのうち、顧客に対し高度に専門的な説明を必要とする金融サービスを仲介することが認められている。
- 金融サービス提供法では、金融商品販売業者等は、業として行う金融商品の販売等に係る勧誘をしようとするときは、原則として、あらかじめ勧誘方針を策定して公表することが義務付けられている。
- 金融サービス提供法では、顧客が金融商品販売業者等の説明義務違反に基づき損害賠償を請求する場合、顧客が払い込んだ元本の総額が損害額と推定される。
- 金融サービス提供法では、金融商品販売業者等は、顧客の属性にかかわらず、すべての顧客に対して公平になるように、同じ方法および程度によって重要事項を説明しなければならないとされている。
解答
2
解説
- ✕(不適切):「顧客に対し高度に専門的な説明を必要とする金融サービスを仲介することが認められている」という点が誤りです。正しくは「顧客に対し高度に専門的な説明を必要とする金融サービスを仲介することは認められていない(仲介できるのは有価証券の売買や一般的な預金・保険等に限られる)」です。
金融サービス仲介業は、単一の登録で銀行・証券・保険すべての分野のサービスを横断的に仲介できる新たな業態です。しかし、金融サービス仲介業者は特定の金融機関に所属しないという性質上、顧客保護の観点から、デリバティブ取引など高度な説明を要する複雑な商品の取り扱いは法令により制限されています。 - 〇(適切):記述の通りです。金融商品販売業者等は、業として金融商品の販売等にかかる勧誘を行う場合、顧客保護の観点からあらかじめ勧誘方針(勧誘の対象となる者の知識、経験、財産の状況に照らして配慮すべき事項など)を策定し、店頭への掲示やインターネットのホームページ等を通じて公表することが法令により義務付けられています。
- ✕(不適切):「顧客が払い込んだ元本の総額が損害額と推定される」という点が誤りです。正しくは「顧客が払い込んだ元本から、返還された金額等を差し引いた元本欠損額が損害額と推定される」です。
金融商品販売業者等が重要事項の説明義務を怠ったことによって顧客に損失が生じた場合、顧客側の立証負担を軽減するため、払い込んだ元本から返還額等を差し引いた金額(元本欠損額)を損害額として推定する旨が法令で定められています。支払った元本の全額が無条件で損害として認められるわけではありません。 - ✕(不適切):「顧客の属性にかかわらず、すべての顧客に対して公平になるように、同じ方法および程度によって重要事項を説明しなければならない」という点が誤りです。正しくは「顧客の知識、経験、財産の状況および金融商品の販売等に係る契約を締結する目的に照らして、顧客に理解されるために必要な方法および程度による説明でなければならない」です。
重要事項の説明は、画一的な方法で行うのではなく、顧客の知識や経験、財産の状況、契約目的といった個別の属性に応じた適切な方法と程度で行うことが法令により求められています。
金融サービス提供法の補足
金融サービス提供法は、2000年に制定された金融商品販売法を前身としています。金融ビッグバンによる自由化以降、投資信託などのリスク性商品で予期せぬ損失を被る消費者が急増したことを受け、金融機関側に「元本割れリスク等の重要事項の説明」を義務付ける目的で制定されました。
その後、金融サービスの多様化に対応するため、2020年の法改正によって現在の金融サービス提供法へと名称が変更され、新たに銀行・証券・保険をワンストップで仲介できる金融サービス仲介業という業態が創設されました。法律の名称は変わりましたが、「投資家へのリスク説明義務」と「違反時の損害賠償責任」を中核とする顧客保護のルールは、旧法からそのまま引き継がれています。
肢①の補足
従来の金融商品仲介業や保険募集人は、特定の金融機関からの委託を受けて業務を行います。顧客に損害を与えた場合の賠償責任は原則として所属する金融機関が負うため、複雑な金融商品の取り扱いが認められています。
一方、金融サービス仲介業者は特定の金融機関に所属せず、自身で保証金を供託して独立して業務を行います。所属機関という後ろ盾がないことによる賠償能力の限界を考慮し、デリバティブ取引など高度な説明を要する特定商品の取り扱いは初めからできないように法的制約が設けられています。
田口先生
金融サービス仲介業者は特定の金融機関に所属しないという性質上、利用者被害等が生じた場合を想定した損害賠償資力確保の観点から、保証金の供託等の義務が課されています。また、金融サービス仲介業を営むためには内閣総理大臣の登録を受ける必要があります。あわせて押さえておきましょう。
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