2026年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2026年5月公表 問55(基礎控除額)

四択問題

分野:相続

下記の〈親族関係図〉において、Aさんの相続が開始した場合の相続税における遺産に係る基礎控除額として、最も適切なものはどれか。なお、Cさんは相続の放棄をしている。また、Dさんは、Aさん夫婦の普通養子(特別養子縁組以外の縁組による養子)である。

問題資料
  1. 4,200万円
  2. 4,800万円
  3. 5,400万円
  4. 6,000万円



解答

2

解説

  1. ✕(不適切):「4,200万円」という点が誤りです。
    この金額は、法定相続人を2人(配偶者Bさん、養子Dさん)として計算した場合の誤った数値です。実子Cさんが相続を放棄しているため、Cさんを法定相続人の数から除外してしまうとこの計算に陥りますが、基礎控除額の計算においては、相続放棄はなかったものとして扱われます
  2. 〇(適切):記述の通りです。相続税の遺産に係る基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。本問の法定相続人は、配偶者Bさん、実子Cさん、養子Dさんの合計3人です。したがって、「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」となります。
  3. ✕(不適切):「5,400万円」という点が誤りです。
    この金額は、法定相続人を4人と誤認した場合の数値です。例えば、実子Cさんが相続放棄したことで孫EさんおよびFさんが代襲相続すると勘違いし、法定相続人をBさん、Dさん、Eさん、Fさんの4人として計算してしまうとこの誤った数値になります。
  4. ✕(不適切):「6,000万円」という点が誤りです。
    この金額は、法定相続人を5人と誤認した場合の数値です。配偶者Bさん、実子Cさん、養子Dさんに加え、孫EさんとFさん全員を法定相続人に含めてしまうとこのような誤った計算になります。
相続放棄があった場合の法定相続人の数の取り扱い

相続税の基礎控除額を計算するさい、相続放棄をした者がいても、その放棄は「なかったもの」として法定相続人の数を算定します。もし相続放棄によって基礎控除額が減ってしまうと、一部の相続人の個人的な事情により、残された他の相続人の税負担が不当に重くなってしまうからです。そのため税法では、個人の選択が他者の不利益にならないよう配慮し、どのような放棄があっても基礎控除の枠を一定に保つことで、課税の公平を担保するルールを採用しています。

法定相続人の数に含める養子の数

相続税の計算において法定相続人の数に含めることができる普通養子の数には制限があり、被相続人に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人までとされています。本問では実子Cさんがいるため、法定相続人の数に含める養子は1人までとなります。これは、養子縁組を無制限に繰り返すことで基礎控除額を不当に引き上げ、相続税を免れる租税回避行為を防止するための措置です。

田口先生1
田口先生
相続放棄がある場合、「実際の遺産分割(民法)」と「相続税の総額計算(税法)」で法定相続分が異なります。
遺産分割を行う民法上、放棄した実子Cさんは初めから相続人でなかったものと扱われ、代襲相続も発生しません。その結果、法定相続分は配偶者Bさんが2分の1、養子Dさんが2分の1になります。
一方、税法上は課税の公平性を保つため「放棄はなかったもの」として計算します。そのため、税額計算のベースとなる法定相続分は、配偶者Bさんが2分の1、実子Cさんが4分の1、養子Dさんが4分の1になります。

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