2026年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2026年5月公表 問60(会社法)

四択問題

分野:相続

会社法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 株式会社を設立するためには、最低資本金額として1,000万円が必要である。
  2. 株式会社が特定の株主から自己株式を有償で取得する場合、原則として、株主総会の特別決議が必要となる。
  3. 定時株主総会は、毎事業年度終了後一定の時期に招集しなければならないが、臨時株主総会は、必要がある場合にいつでも招集することができる。
  4. 取締役は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。



解答

1

解説

  1. ✕(不適切):「最低資本金額として1,000万円が必要である」という点が誤りです。正しくは「資本金は1円でも株式会社を設立できる」です。
    2006年に施行された会社法により、旧法時代に存在した最低資本金制度は撤廃されました。現在では、資本金が1円であっても発起人の出資により株式会社を設立することが認められています。
  2. 〇(適切):記述の通りです。株式会社が特定の株主から自己株式を有償で取得する場合、株主平等の原則に対する例外となるため、手続きが厳格化されています。他の株主の利益を害するおそれがあることから、原則として株主総会の特別決議を経る必要があります。
  3. 〇(適切):記述の通りです。定時株主総会は、事業年度の終了後一定の時期(一般的には決算日から3か月以内)に招集され、計算書類の承認や役員の選任などを行います。これに対し、臨時株主総会は、合併の承認や取締役の欠員補充など、必要が生じた場合にいつでも招集して決議を行うことができます。
  4. 〇(適切):記述の通りです。取締役は株主から会社の経営を委任されている立場であるため、所有者である株主の意思(株主総会の決議)によっていつでも解任することが可能です。なお、解任について正当な理由がない場合、解任された取締役は会社に対して損害賠償を請求することはできますが、解任の効力自体が否定されるわけではありません。
肢①の補足

旧商法では、株式会社に1,000万円、有限会社に300万円の最低資本金が義務付けられており、これが起業の大きな障壁となっていました。2006年施行の会社法では、経済の活性化や起業促進のため、この金額規制を全面的に撤廃。同時に有限会社を廃止し、最低資本金1円から株式会社や合同会社を設立できる新たな仕組みへと移行しました。これにより、まとまった資金がなくても、優れたアイデアを持つ人がタイムリーに起業できるようになりました。

肢②の補足

自己株式の取得では、株主全員に売却の機会があるかどうかで株主総会の決議要件が異なります。市場取引など、すべての株主に均等に機会が与えられている場合は、株主総会の普通決議で足ります。しかし、特定の株主からのみ取得する場合は、その株主だけに投資資金の回収機会を与えることになり、他の株主が不利益を被るリスクが高まります。そのため会社法では、株主間の平等を守る観点から、より可決要件が厳格な特別決議を要求しています。さらに、他の株主にも「自分からも買ってくれ」と請求できる権利(売主追加請求権)が認められています。

田口先生1
田口先生
会社に勤務する一般的な従業員は、会社と「雇用契約」を結んでおり、労働契約法などの労働関連法規によって手厚く保護されています。そのため、会社側が従業員を解雇するには、社会通念上相当と認められるような厳格な正当事由が求められます。
一方で、取締役と会社との関係は雇用契約ではなく、会社の所有者である株主から経営を任される「委任契約」です。委任契約においては、委任者(株主)がいつでも契約を解除できるという民法の原則が根底にあるため、会社法においても株主総会の決議によっていつでも取締役を解任できる規定となっています。
株主の意思を尊重し、意に沿わない経営者を速やかに排除できる権限が担保されている反面、正当な理由なく任期途中で解任した場合には、会社側に損害賠償責任(本来得られるはずだった役員報酬の補填など)が生じるという形で、両者の権利のバランスが図られています。

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