2026年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2026年5月公表 問16(自動車保険)

四択問題

分野:リスク

任意加入の自動車保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。

  1. 対物賠償保険では、被保険自動車を運転中に誤って自宅の車庫に衝突して損壊させて損害を被った場合、補償の対象となる。
  2. 一般条件の車両保険では、被保険自動車が地震を原因とする津波により水没して損害を被った場合、補償の対象となる。
  3. 対物賠償保険では、被保険自動車を運転中に誤って通行人が連れていたペットに衝突して死なせ、法律上の損害賠償責任を負った場合、補償の対象とならない。
  4. 対人賠償保険では、被保険自動車を運転中に対人事故を起こした被保険者が法律上の損害賠償責任を負った場合、自動車損害賠償責任保険等によって補償される部分を除いた額が補償の対象となる。



解答

4

解説

本問は、自動車事故によって生じる多様な損害をカバーする「任意加入の自動車保険」に関する基本的な商品性を問う問題です。

  1. ✕(不適切):「自宅の車庫に衝突して損壊させて損害を被った場合、補償の対象となる」という点が誤りです。正しくは「自宅の車庫に対する損害は免責事由に該当するため、補償の対象とならない」です。
    対物賠償保険は、自動車事故によって他人の財物に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われる保険です。契約者本人や被保険者本人、あるいはその配偶者や同居の親族が所有・使用・管理する財物(自宅の車庫、塀、自分の自転車など)に対する損害は、身内に対する賠償となるため補償の対象外とされています。
  2. ✕(不適切):「地震を原因とする津波により水没して損害を被った場合、補償の対象となる」という点が誤りです。正しくは「地震・噴火・津波による損害は、一般条件であっても補償の対象とならない」です。
    車両保険は、偶然の事故による被保険自動車自体の損害を補償するものです。補償範囲が最も広い一般条件であっても、地震や噴火、またはこれらを原因とする津波によって生じた車両の損害については、免責事由として補償の対象外とされています。これらは一度の災害で発生する被害が甚大になりやすく、保険料のみでリスクを平準化することが困難であるからです。
  3. ✕(不適切):「通行人が連れていたペットに衝突して死なせ(中略)補償の対象とならない」という点が誤りです。正しくは「他人のペットは法律上の財物として扱われるため、対物賠償保険の補償の対象となる」です。
    対物賠償保険は、他人の財物に対する損害賠償責任をカバーするものです。日本の民法上、他人が飼育しているペットは、生命ではなく物(動産)として扱われます。したがって、運転中の事故で他人のペットを死傷させてしまった場合の損害賠償責任は、対人賠償保険ではなく対物賠償保険から保険金が支払われます。
  4. 〇(適切):記述の通りです。対人賠償保険は、自動車事故によって他人の生命や身体を害し、法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われるものです。日本の自動車保険制度は、強制保険である自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)と、任意で加入する自動車保険の二段階で構成されています。そのため、対人賠償保険からは、自賠責保険の支払限度額を超過した部分についてのみ保険金が支払われます。
肢①の補足

損害賠償責任保険は、原則として第三者(他人)に対する法的な賠償責任を補填するものです。被保険者の配偶者や同居の親族に対する損害については、家計が同一である身内同士の賠償請求となり、実質的に損害のてん補というよりも身内間での財産の移転に過ぎないこと、また、保険金取得を目的とした意図的な事故の誘発といったモラルリスクを排除する観点から、対人賠償および対物賠償のいずれにおいても免責事由(保険金が支払われないケース)として規定されています。

肢④の補足

対人賠償保険は、被害者救済の観点からすべての自動車に加入が義務付けられている自賠責保険の支払限度額(死亡時で最高3,000万円等)を超える損害額を補償するための制度設計となっています。一方で、対物賠償保険や車両保険については、自賠責保険の補償対象が「人の生命・身体への損害」のみに限定されており、他人の物や自分自身の車両への損害はそもそも自賠責保険の対象外であるため、自賠責保険を超過した部分という制限は存在せず、損害額の全額が任意保険から支払われます。

田口先生1
田口先生
肢②の解説で述べたように、一般条件の車両保険では、地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする損害は補償の対象になりませんが、火災台風洪水高潮による損害は補償の対象になります。対象になるもの、ならないものを改めて確認しておきましょう。

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