2026年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2026年5月公表 問17(火災保険)

四択問題

分野:リスク

住宅用建物および家財を対象とする火災保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。

  1. 火災保険では、隣家の火災の消火活動により住宅用建物に収容されている家財に水濡れによる損害が生じた場合、補償の対象となる。
  2. 火災保険では、経年劣化による腐食で住宅用建物に損害が生じた場合、補償の対象となる。
  3. 火災保険では、落雷により住宅用建物に収容されている家財に異常電圧による損害が生じた場合、補償の対象とならない。
  4. 住宅用建物の保険金額が2,000万円(保険価額と同額)の火災保険において、1,000万円の保険金が支払われた場合、その後の保険金額が1,000万円に減額される。



解答

1

解説

本問は、個人が所有する住宅や家財を対象とした一般的な火災保険の補償範囲や、保険金が支払われた後の契約上の取り扱いについて問う問題です。

  1. 〇(適切):記述の通りです。火災保険において「火災」による損害の補償には、炎による直接的な焼損だけでなく、火災の熱や煙による汚損、消防署等の消火活動に伴う放水による水濡れ損害や建物の破壊なども含まれます。したがって、隣家の火災による消火活動が原因で自室の家財に水濡れ損害が生じた場合も、火災に伴う正当な損害として補償の対象になります。
  2. ✕(不適切):「補償の対象となる」という点が誤りです。正しくは「補償の対象にならない」です。
    火災保険は、火災や風災等の偶然かつ突発的な事故によって生じた損害を補填する制度です。時間の経過とともに自然に進行する経年劣化や腐食、サビ、摩耗などによる建物の損害は、偶然生じた事故によるものではないため、補償の対象外になります。
  3. ✕(不適切):「補償の対象とならない」という点が誤りです。正しくは「補償の対象になる」です。
    一般的な火災保険の基本補償には、火災・落雷・破裂・爆発がセットで含まれています。落雷による過電流(異常電圧)が原因で、コンセントに接続されていた家電製品(家財)がショートして故障した場合などは、落雷による損害として認定されるため、補償の対象になります。
  4. ✕(不適切):「その後の保険金額が1,000万円に減額される」という点が誤りです。正しくは「その後の保険金額は減額されず、2,000万円のまま継続される」です。
    現在の一般的な火災保険では、自動復元方式が採用されています。これは、保険金の支払いが全損に至らない一部損であった場合、保険金が支払われても保険金額が差し引かれることなく、契約当初の保険金額がそのまま復元・維持されるというルールです。本肢の場合、1,000万円の支払いを受けても、その後の保険金額は2,000万円のまま減額されません。
肢①の補足

日本には「失火の責任に関する法律(失火責任法)」があり、重大な過失がない限り、火災を起こした者は隣家への延焼に対して法律上の損害賠償責任を負わないと定められています。そのため、隣家の火災の延焼や消火活動に伴い自室の家財に損害が生じた場合であっても、原則として火元である隣人に対して賠償を請求することはできません。このような法制度のもとでは、自ら加入している火災保険を使って自己防衛的に損害をカバーする必要があります。

肢④の補足

火災保険における自動復元方式は、一度の事故で建物の屋根が壊れるなどの分損が生じても、その後に起こり得る再度の災害に対して十分な補償額を確保し続けるために導入されている実務上のルールです。ただし、建物の焼失等の損害額が保険金額の一定割合(一般的に80%)に達する全損と認定された場合には、保険金が全額支払われるとともに、補償の対象になる建物自体が失われたとみなされるため、その時点で火災保険契約は終了(消滅)することになります。

田口先生1
田口先生
個人を契約者(=保険料負担者)とする火災保険に関しては、地震保険を付帯して契約した場合の所得控除についてよく問われます。
火災保険の保険料は、かつては「損害保険料控除」の対象でしたが、同控除はすでに廃止されているため、現在の新規契約では火災保険料に対する所得控除を受けることはできません(※平成18年以前に締結された一定の旧長期損害保険契約を除く)。
一方、地震保険の保険料は「地震保険料控除」の対象になりますが、長期契約の支払いについては注意が必要です。複数年分の保険料をまとめて一括で支払った場合であっても、支払ったその年に全額を控除することはできず、総支払額を保険期間の年数で割った金額を各年に分割して地震保険料控除の適用を受けることになります。

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