2026年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2026年5月公表 問23(J-REIT)

四択問題

分野:金融

上場不動産投資信託(J-REIT)の一般的な仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. J-REITは、投資家から集めた資金を不動産投資法人が不動産等に投資し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する投資信託である。
  2. J-REITは、証券取引所の立会取引において、成行注文や指値注文によって売買を行うことができる。
  3. J-REITは、一般に、発行体がいつでも買戻しに応じるオープン・エンド型の投資信託として設定されている。
  4. J-REITの分配金に係る配当所得は、税法上、配当控除の対象とならない。



解答

3

解説

本問は、多数の投資家から集めた資金で不動産を購入し、そこから得られる賃料収入などを分配する「上場不動産投資信託(J-REIT)」の基本的な商品性を問う問題です。

  1. 〇(適切):記述の通りです。J-REIT(上場不動産投資信託)は、多数の投資家から集めた資金を不動産投資法人がオフィスビルや商業施設、マンションなどの実物不動産に投資し、そこから得られる賃貸収入や不動産の売買益を投資家に分配する金融商品です。個人では購入が難しい高額な不動産に対して、少額から分散投資できるというメリットを有しています。
  2. 〇(適切):記述の通りです。J-REITは証券取引所に上場しているため、一般的な上場株式と全く同じように、証券会社を通じて市場の立会時間中にリアルタイムで売買を行うことができます。価格を指定しない成行注文、希望する売買価格を指定する指値注文のどちらも利用可能です。
  3. ✕(不適切):「オープン・エンド型の投資信託として設定されている」という点が誤りです。正しくは「クローズド・エンド型の投資信託として設定されている」です。
    オープン・エンド型とは、投資家からの請求によって発行体がいつでも買い戻し(解約)に応じる形態を指します。しかし、J-REITは不動産という流動性の低い(すぐに現金化できない)資産に投資するため、資金流出による運用への悪影響を防ぐ目的から、発行体への直接の解約請求が認められないクローズド・エンド型が採用されています。その代わりとして、証券取引所に上場することで投資家に市場で売却(換金)する機会を提供しています。
  4. 〇(適切):記述の通りです。J-REITの分配金にかかる配当所得は、税法上、配当控除の適用を受けることができません。配当控除は、法人段階で法人税が課された後の利益が配当されることによる、法人税と所得税の二重課税を排除するための制度です。J-REITの場合、利益の90%超を分配するなどの一定の要件を満たすことで法人税が実質的に免除される特例があるため、そもそも二重課税が生じておらず、配当控除の対象外とされています。
肢①の補足

J-REITは、多額の資金が必要となる実物の不動産投資とは異なり、数万円程度の少額から複数の優良物件への分散投資が可能です。また、実物の不動産は買い手を見つけるまでに時間や手間を要しますが、J-REITは証券取引所を通じて容易に売却できる高い流動性を持っています。
一方で、金融商品として市場に上場しているため、不動産そのものの収益価値だけでなく、株式市場全体の動向や金利の変動といったマクロ経済の要因によって日々価格が変動するという特有のリスクを内包しています。

肢②の補足

一般的な非上場の投資信託は、1日1回算出される基準価額を基に取引されます。注文時には約定価格が分からないブラインド方式が採用されており、成行や指値といった注文方法は利用できません。
一方、J-REITは証券取引所に上場しているため、株式と同様に市場の取引時間中はリアルタイムで価格が変動し、投資家自身が希望価格を指定する指値注文が可能です。同じ「投資信託」という名称であっても、上場の有無によって価格決定や注文方法は大きく異なります。

田口先生1
田口先生
投資信託には「会社型の投資信託」と「契約型の投資信託」の2種類があります。会社型は投資目的の法人を設立して投資家がその証券を購入する仕組みで、契約型は運用会社と信託銀行が結んだ契約に基づく仕組みです。日本の個人向け投資信託のほとんどは会社型ですが、J-REITは契約型の投資信託に分類されます

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