2026年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2026年5月公表 問25(株式の信用取引)

四択問題

分野:金融

株式の信用取引の一般的な仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 信用取引では、売買が成立した後に相場が変動し、その日の終値を基に計算される委託保証金率が、証券会社が定める最低委託保証金維持率を下回った場合、追加保証金を差し入れるなどの方法により、委託保証金の不足を解消しなければならない。
  2. 信用取引では、現物株式を所有していない場合、その株式の買建てを行うことはできるが、売建てを行うことはできない。
  3. 金融商品取引法等によれば、原則として、株式の信用取引を行う際の委託保証金の額は30万円以上で、かつ、当該信用取引に係る株式の約定価額に100分の30を乗じた金額以上でなければならないとされている。
  4. 証券取引所の規則等に基づく制度信用取引で始めた取引を、途中で証券会社との契約に基づく一般信用取引に変更することはできない。



解答

2

解説

  1. 〇(適切):記述の通りです。信用取引では、建玉(保有しているポジション)に含み損が発生するなどの理由で、証券会社に預けている担保(委託保証金)の実質的な価値が目減りすることがあります。その日の終値で計算された委託保証金率が、証券会社があらかじめ定めている最低委託保証金維持率(一般的に20%〜25%程度)を下回った場合、投資家は定められた期日までに不足分の現金等を差し入れて担保価値を回復させなければなりません。これが、いわゆる「追加保証金(追証)」と呼ばれる仕組みです。
  2. ✕(不適切):「現物株式を所有していない場合、その株式の買建てを行うことはできるが、売建てを行うことはできない」という点が誤りです。正しくは「現物株式を所有していない場合であっても、証券会社から株式を借りて売建てを行うことができる」です。
    信用取引では、証券会社から資金を借りて株式を買う「買建て」だけでなく、手元に現物株式を持っていなくても、証券会社から株式を借りて市場で売却する「売建て(いわゆる空売り)」を行うことが可能です。後日、市場で株式を買い戻して証券会社に返却することで決済が完了し、売却時よりも株価が下落していればその差額が利益になります。
  3. 〇(適切):記述の通りです。信用取引は自己資金以上の取引を行うため、投資家保護および市場の決済不履行リスクを防ぐ観点から、金融商品取引法等により最低限の担保額が法定されています。具体的には、信用取引を開始するにあたり、最低30万円以上の委託保証金を差し入れる必要があり、かつ、その額は取引する株式の約定価額の30%以上(委託保証金率30%)でなければならないと規定されています。
  4. 〇(適切):記述の通りです。信用取引には、証券取引所が返済期限(原則6か月)や対象銘柄を一律に規定している「制度信用取引」と、投資家と証券会社との間の直接契約によって返済期限や金利等を自由に設定する「一般信用取引」の2種類があります。これらは依拠するルールや法的な契約関係が根本的に異なるため、制度信用取引で建てたポジションを、決済することなくそのまま一般信用取引に変更することは認められていません。
肢③の補足

信用取引の委託保証金は現金で差し入れることが原則ですが、国債や上場株式など一定の有価証券で代用することもできます。これを「代用有価証券」と呼びますが、有価証券は価格変動リスクを伴うため、時価の全額が担保として評価されるわけではありません。国債であれば時価の95%程度、上場株式であれば時価の80%程度といった一定の割引率(掛目)を乗じて評価額が算出されます。

肢④の補足

信用取引には、返済期限や対象銘柄等が証券取引所等の規則により厳格に定められている「制度信用取引」と、返済期限や対象銘柄等を顧客と証券会社との契約により決定することができる「一般信用取引」が存在します。前者は証券取引所のルールに則り、証券会社を通じて資金や株式を調達する公共性の高い枠組みです。一方の後者は、証券会社が独自の基準で顧客と直接結ぶ相対契約です。
このように、両者は依拠する規則や契約の当事者、資金等の調達経路といった事実関係が根本的に異なる別個の制度であるため、制度信用取引の建玉を途中で一般信用取引に変更する(またはその逆)ことは認められていません。変更したい場合はいったん既存の信用取引を終了したうえで、新たな信用取引を開始する必要があります。

田口先生1
田口先生
信用取引には、手元資金以上の取引を行うことが可能な「レバレッジ効果」があります。例えば、信用取引の委託保証金率が30%である場合、既存の建玉のない状態で300万円の委託保証金を現金で差し入れたときは、約定金額1,000万円(=300万円÷30%)まで新規建てをすることができます。

FP3級 試験問題解説 全問リスト

FP2級 試験問題解説

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です