四択問題
分野:タックス
所得税における医療費控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、「特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例」は考慮しないものとする。
- その年中に実際に支払った医療費が医療費控除の対象となり、未払いとなっている医療費は実際に支払われるまで医療費控除の対象とならない。
- 給与所得者は、年末調整により医療費控除の適用を受けることができる。
- 医師等による診療等を受けるために電車、バス等の公共交通機関を利用した場合に支払った通院費で通常必要なものは、医療費控除の対象となる。
- 医療費控除の控除額の計算上、医療費の補填として受け取った保険金は、その補填の対象となった医療費の金額を限度として、医療費の金額から差し引く必要がある。
解答
2
解説
- 〇(適切):記述の通りです。医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までの間に実際に支払った金額のみが対象になります。年末時点で治療が完了していても、支払いが翌年に持ち越された未払いの医療費については、その支払いを実際に済ませた翌年分の医療費控除の対象になります。
- ✕(不適切):「年末調整により医療費控除の適用を受けることができる」という点が誤りです。正しくは「年末調整では医療費控除の適用を受けることはできず、自ら確定申告を行う必要がある」です。
年末調整は給与の支払者(勤務先)が従業員の税額を精算する制度ですが、医療費控除をはじめとする雑損控除や寄附金控除(ふるさと納税のワンストップ特例を除く)などは年末調整の対象外とされています。給与所得者がこれらの控除の適用を受けるためには、原則として翌年に自ら確定申告書を税務署へ提出する必要があります。 - 〇(適切):記述の通りです。医療費控除の対象には、医師等による診療費や治療代のほか、通院のために通常必要な交通費も含まれます。具体的には、電車やバスなどの公共交通機関の運賃が該当します。
一方で、自家用車で通院した場合のガソリン代や駐車料金、または緊急性がなく単なる利便性のために利用したタクシー代などは、原則として医療費控除の対象外になります。 - 〇(適切):記述の通りです。医療費控除の金額を計算するさい、生命保険契約等に基づいて受け取った入院給付金や、健康保険から支給される高額療養費などの「実際に補填された金額」は、支払った医療費の総額から差し引く必要があります。ただし、差し引くのはその給付の目的となった医療費の金額を限度とします。ある治療に対する保険金が実際の医療費を上回ったとしても、その超過分を他の病気やケガの医療費から差し引く必要はありません。
肢②の補足
勤務先が行う年末調整は、毎月の給与から源泉徴収した所得税を精算する手続きですが、対象となるのは基礎控除や配偶者控除、生命保険料控除など画一的に処理しやすいものに限られています。
一方、医療費控除は、各家庭で発生した領収書等の事実確認や、保険金による補填額の個別計算が必要となり、勤務先が従業員のプライベートな医療情報をすべて把握・審査することは困難です。そのため、年末調整の対象から除外され、納税者自身が税務署に対して直接申告する形になっています。
医療費控除の対象となる親族の範囲
医療費控除は、納税者本人のために支払った医療費だけでなく、自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費も合算して申告することが認められています。この「生計を一にする」という要件は、必ずしも同居している必要はなく、生活費や学資金、療養費などを送金して生活の基礎を共有している別居の親族(下宿中の子どもや療養中の親など)も含まれます。家族の中で最も所得が高く、適用される所得税率が高い人が家族全員分の医療費をまとめて申告することで、世帯全体としての節税効果を最大化ですることができます。
田口先生
医療費控除の計算において、受け取った保険金等は「その給付の目的となった医療費」を上限として差し引くというルールが存在します。具体例として、同一年中に「A病院の入院費として10万円」と「B病院の通院費として5万円」を支払い、A病院の入院に対する保険金として15万円を受け取ったケースを考えてみましょう。
この場合、A病院の入院費(10万円)から保険金(15万円)を引くと計算上は5万円の超過となりますが、支払った医療費の金額(10万円)が差し引く限度額となるため、A病院に関する実質負担額はゼロとして扱われます。そして、この超過した5万円を、全く別の治療であるB病院の通院費(5万円)から差し引く必要はありません。そのため、B病院の通院費5万円はそのまま医療費控除の対象として計上することができます。
この場合、A病院の入院費(10万円)から保険金(15万円)を引くと計算上は5万円の超過となりますが、支払った医療費の金額(10万円)が差し引く限度額となるため、A病院に関する実質負担額はゼロとして扱われます。そして、この超過した5万円を、全く別の治療であるB病院の通院費(5万円)から差し引く必要はありません。そのため、B病院の通院費5万円はそのまま医療費控除の対象として計上することができます。
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