四択問題
分野:タックス
所得税における住宅借入金等特別控除(以下、「住宅ローン控除」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要な要件等はすべて満たしているものとする。
- 住宅ローン控除の適用を受けている者が、住宅ローンの一部繰上げ返済を行い、借入金の返済期間が最初に返済した月から10年未満となった場合であっても、残りの控除期間について住宅ローン控除の適用を受けることができる。
- 住宅ローン控除の適用を受けていた者が、転勤に伴う転居等のやむを得ない事由により、住宅を居住の用に供しなくなった場合に、翌年以降に再び当該住宅を居住の用に供したときは、原則として、再入居した年以後の控除期間内について住宅ローン控除の適用を受けることができる。
- 年末調整の対象となる給与所得者であっても、住宅ローン控除の適用を受ける最初の年分は、一定の書類を添付した確定申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
- 住宅ローン控除の控除額が所得税額から控除しきれない場合、その残額が、一定額を限度として翌年度分の住民税額から控除される。
解答
1
解説
- ✕(不適切):「残りの控除期間について住宅ローン控除の適用を受けることができる」という点が誤りです。正しくは「残りの控除期間について住宅ローン控除の適用を受けることはできない」です。
住宅ローン控除の適用要件のひとつに「借入金の返済期間が10年以上であること」という基準があります。繰上げ返済を行った結果、当初の借入日から最終返済日までのトータルの返済期間が10年未満となってしまった場合、その年以後は住宅ローン控除の適用要件を満たさなくなり、残りの期間について控除の適用を受けることができなくなります。 - 〇(適切):記述の通りです。住宅ローン控除は、本人が居住の用に供していることが適用の大前提となりますが、転勤などのやむを得ない事情で一時的にマイホームを離れた場合、居住していない期間中は控除を受けられません。しかし、その事情が解消して再びその住宅に居住した場合、所定の手続きを行うことで、残存する控除期間内に限り、再入居した年以後から住宅ローン控除の適用を再開することが認められています。
- 〇(適切):記述の通りです。給与所得者は通常、勤務先の年末調整で所得税の精算が完結しますが、住宅ローン控除を初めて受ける適用初年度については、住宅の登記事項証明書や借入金の年末残高等証明書などの事実関係を税務署が直接確認する必要があるため、自ら確定申告を行う必要があります。なお、2年目以降は、税務署から送付される証明書等を勤務先に提出することで、年末調整のみで控除の適用を受けることが可能です。
- 〇(適切):記述の通りです。住宅ローン控除は税額控除であるため、算出された所得税額から直接差し引かれますが、控除額が大きすぎて所得税から引ききれないケースが生じます。この場合、引ききれなかった残額については、一定の限度額の範囲内で、翌年度に課税される住民税から差し引くことができます。
肢③の補足
住宅取得の初年度は、その家屋が住宅ローン控除の対象となる床面積や各種基準等の法的な要件を満たしているかなど、勤務先では判断が困難な情報を税務当局が厳格に審査する必要があります。そのため適用初年度は確定申告が義務付けられます。しかし、一度審査を通過してしまえば、2年目以降は「ローン残高がいくら残っているか」という事実関係の確認のみで済むため、納税者の利便性を考慮して勤務先の年末調整で完結する仕組みが整えられています。
住宅ローン控除の適用を受けるための主な要件
住宅ローン控除の適用を受けるためには、対象となる家屋や納税者の所得に関して客観的な基準が設けられており、以下の事実関係をすべて満たす必要があります。以下の要件は、FP2級の学科試験でもよく問われるので、本問とあわせて押さえておきましょう。
- 居住要件:新築や取得の日から6か月以内に居住の用に供し、かつその年の12月31日まで引き続き居住していること。
- 床面積要件:住宅の床面積が50平方メートル以上であり、その2分の1以上が専ら自己の居住の用に供されるものであること。
- 所得要件:控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であること。
- 借入金要件:借入金の償還期間が10年以上であること(本問の肢①関連)。
- 併用制限:居住した年とその前後の計一定期間において、居住用財産の譲渡所得の特別控除(3,000万円特別控除)など他の特例を受けていないこと。
田口先生
近年の税制改正により、所得要件が従来の3,000万円以下から2,000万円以下へ引き下げられています。したがって、仮に「所得税において、住宅借入金等特別控除の適用を受けるためには、納税者のその年分の合計所得金額が3,000万円以下でなければならない。」という正誤問題が出題された場合、税制改正前は「適切」でしたが、改正後の現在は「不適切」になります。
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