四択問題
分野:タックス
消費税の簡易課税制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 簡易課税制度の適用を受けた場合、仕入れに係る消費税額は、課税売上高に従業員数に応じて定められたみなし仕入率を乗じて計算する。
- 新たに事業を開始した事業者は、事業を開始した日の属する課税期間内に「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署長に提出することで、当該課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができる。
- 簡易課税制度を選択した事業者は、事業を廃止した場合等を除き、原則として、簡易課税制度の適用を2年間継続しなければならない。
- 簡易課税制度の選択を取りやめる場合、原則として、その適用を取りやめようとする課税期間の初日の前日までに、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
解答
1
解説
- ✕(不適切):「従業員数に応じて定められたみなし仕入率」という点が誤りです。正しくは「事業の区分に応じて定められたみなし仕入率」です。
簡易課税制度において、仕入れに係る消費税額(控除対象仕入税額)は、課税売上高に対して、その法人が営む事業の種類ごとに定められた「みなし仕入率」を乗じて計算します。従業員の人数や店舗の面積などは計算要素には含まれません。業種ごとの標準的な利益率や仕入構造の違いを反映させるため、卸売業や小売業、サービス業といった事業の区分を基準とするルールが採用されています。 - 〇(適切):記述の通りです。簡易課税制度の適用を受けるためには、原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日までに届出書を提出する必要があります。しかし、新たに事業を開始した新規開業事業者の場合、事前の提出が物理的に不可能であるため、特例として事業を開始した日の属する課税期間中に提出すれば、その初年度から簡易課税制度を適用できるという救済措置が設けられています。
- 〇(適切):記述の通りです。簡易課税制度を選択した事業者は、事業を廃止した場合などを除き、一度適用を開始すると原則として2年間は原則課税に戻すことができません。これは、事業者が自社にとって有利になる年だけ都合よく簡易課税と原則課税を切り替える租税回避行為を防ぐために設けられた要件です。
- 〇(適切):記述の通りです。簡易課税制度の適用を取りやめて原則課税に戻そうとする場合、適用をやめようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を税務署長に提出する必要があります。事業年度が始まってから業績を見て有利な方を選択できると課税の公平性が損なわれるため、事前の届出が義務付けられています。
肢①の補足
みなし仕入率は、事業者の実際の仕入構造に近づけるため、第1種から第6種までの6区分に分かれています。例えば、商品を仕入れてそのまま販売する卸売業(第1種)は、売上に占める仕入原価の割合が高いため、90%という高い率が設定されています。一方、自らのスキルや場所を提供するサービス業(第5種:50%)や不動産業(第6種:40%)は、人件費などの非課税費用が多く、消費税の対象となる仕入れの割合が少ない業態であるため、低い率が設定されています。このように、実際の事業実態に即した概算計算を行うための基準が設けられています。
肢④の補足
簡易課税制度を取りやめる場合、事前の不適用届出書の提出が厳格に求められます。
例えば、3月決算の小売業法人が、新しい事業年度に入った直後の5月に店舗用の建物を購入し、その取得代金に500万円の消費税が含まれていたとします。原則課税であれば、この支払った消費税500万円を預かった消費税から直接差し引くことができるため、多額の還付を受けられる可能性があります。しかし、簡易課税のままでは売上高にみなし仕入率を乗じて概算で計算を行うため、建物の購入にかかる仕入税額500万円は一切考慮されません。
この店舗購入に伴う消費税の還付を受けるためには、その事業年度が始まる前日(3月31日)までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を税務署へ提出し、あらかじめ原則課税に戻しておく必要があります。1日でも提出が遅れると、その年度の還付は一切受けられなくなるため、事前の綿密なスケジュール管理が不可欠です。
田口先生
簡易課税制度の適用を受けることができるのは、基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者に限られます。また、消費税の免税事業者になることができるのは、基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者に限られます。
FP2級の学科試験では、この「5,000万円以下」と「1,000万円以下」という要件がよく問われるので、きちんと押さえておきましょう。
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