四択問題
分野:タックス
キャッシュ・フロー計算書(間接法)の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期純利益の金額に、キャッシュの変動を伴わない減価償却費や売上債権等の運転資金項目等を加算・減算して算出する。
- 財務活動によるキャッシュ・フローにおいて、借入れや株式・社債の発行による資金調達に関する表示は、原則として、総額による表示とされる。
- 企業が金融機関と締結している当座借越契約に基づく当座借越限度枠を、現金や現金同等物と同様に利用している場合、当座借越は負の現金同等物として扱う。
- 「固定資産の増加」「短期借入金の減少」「配当金の支払」は、いずれも投資活動によるキャッシュ・フローが減少する要因となる。
解答
4
解説
- 〇(適切):記述の通りです。間接法による営業活動によるキャッシュ・フローは、損益計算書の税引前当期純利益を出発点とします。ここに、減価償却費のような実際の資金流出を伴わない費用を加算し、売掛金や買掛金といった営業取引から生じる運転資金の増減額を調整することで、本業から生み出された現金の増減額を逆算して算出します。
- 〇(適切):記述の通りです。財務活動によるキャッシュ・フローにおいて、借入れと返済、あるいは株式や社債の発行と償還といった資金調達に関する項目は、原則として総額で表示することが求められます。これらを相殺して純額で表示してしまうと、企業がその期間にどれだけの資金を調達し、どれだけ返済したのかという財務活動の規模や全体像が把握できなくなるためです。
- 〇(適切):記述の通りです。企業が金融機関と締結している当座借越契約(あらかじめ定めた限度額まで当座預金残高を超えて引き出せる契約)について、これを日常的な資金繰りとして現金や現金同等物と同様に利用している場合、キャッシュ・フロー計算書上は現金同等物のマイナスとして扱います。これにより、実態に即した状況が計算書に反映されます。
- ✕(不適切):「いずれも投資活動によるキャッシュ・フローが減少する要因となる」という点が誤りです。正しくは「固定資産の増加は投資活動、短期借入金の減少および配当金の支払は財務活動によるキャッシュ・フローが減少する要因となる」です。
企業が固定資産を購入することによる現金の減少は、事業を維持・拡大するための活動であるため「投資活動によるキャッシュ・フロー」に該当します。一方で、借入金の返済や株主への配当金の支払いは、資金調達とその還元に関する活動であるため「財務活動によるキャッシュ・フロー」のマイナス要因として区分されます。
肢①の補足
営業活動によるキャッシュ・フローの計算において減価償却費を加算するのは、それが実際に現金の支出を伴わない費用だからです。出発点となる税引前当期純利益は、すでに減価償却費が差し引かれた後の金額になっています。しかし、実際にはその分の現金は外部に流出していないため、利益から差し引かれた金額を足し戻すことで、営業活動によって実際に生み出された手元のキャッシュ(資金の増減額)を正しく計算しています。
肢④の補足
現金の減少要因であっても、その目的によって区分が異なります。投資活動によるキャッシュ・フローのマイナスは、設備投資や有価証券の購入など、将来の事業成長のために資金を投じた結果として生じます。一方、財務活動によるキャッシュ・フローのマイナスは、過去に調達した借入金の返済や株主への配当など、資金の提供者へお金を払い戻した結果として生じます。
同じ資金流出であっても、将来の成長に向けた未来への投資か、調達した資金に対する過去の清算・還元かという、目的の違いに基づいて明確に区分されています。
田口先生
会社法上の計算書類と金融商品取引法上の財務諸表は、以下のように分類されます。
・会社法上の計算書類:貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表
・金融商品取引法上の財務諸表:貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュフロー計算書、付属明細表
したがって、仮に「キャッシュ・フロー計算書は、キャッシュ(現金および現金同等物)を、営業活動、投資活動、財務活動の3つに区分してその収支を計算し、一会計期間におけるキャッシュの増減を示す計算書類のひとつである。」という正誤問題が出題された場合、解答は「不適切(誤り)」になります。
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