四択問題
分野:相続
贈与税の課税財産に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 死因贈与により取得した財産は、贈与税の課税対象とならない。
- 離婚による財産分与により取得した財産は、その価額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額等の事情を考慮して、社会通念上相当な範囲内である場合、原則として、贈与税の課税対象とならない。
- 個人が法人からの贈与により取得した財産は、業務に関して受けるものや継続的に受けるものを除き、贈与税の課税対象となる。
- 子が母から著しく低い価額の対価で土地を譲り受けた場合、原則として、当該土地の通常の取引価額に相当する金額と支払った対価の額との差額に相当する金額が、子が母から贈与により取得したものとみなされ、贈与税の課税対象となる。
解答
3
解説
- 〇(適切):記述の通りです。死因贈与とは、「私が死んだらこの財産をあなたに譲る」と生前に当事者間で合意しておく契約です。名称には「贈与」とついていますが、財産が移転する原因が「死亡」であるため、税務上は遺贈などと同じように扱われ、贈与税ではなく相続税の課税対象になります。
- 〇(適切):記述の通りです。離婚による財産分与は、夫婦が婚姻期間中に協力して築き上げた共有財産の清算や、離婚後の生活保障としての性質を持ちます。そのため、受け取った財産が社会通念上妥当な範囲内であると認められれば、原則として贈与税は課されません。ただし、不当に多額である場合や、贈与税や相続税を免れる目的で偽装離婚をしたと認められるような例外的なケースの場合は、超過部分等に贈与税が課されます。
- ✕(不適切):「業務に関して受けるものや継続的に受けるものを除き、贈与税の課税対象となる」という点が誤りです。正しくは「所得税の課税対象となる」です。
贈与税は、個人から個人へ財産が無償で移転した場合に課される税金です。個人が法人から財産を受け取った場合は、雇用関係や取引先からの経済的利益の供与等として扱われるため、贈与税ではなく所得税の課税対象になります。 - 〇(適切):記述の通りです。親族間などで、時価よりも著しく低い価額で財産を売買した場合、実質的にはその差額分を無償で譲り受けたのと同じ経済的効果が生じます。そのため、通常の取引価額(時価)と実際に支払った金額との差額については、実質的な贈与があったものとみなされ(みなし贈与)、贈与税の課税対象として扱われます。
肢③の補足
法人からの贈与が贈与税ではなく所得税の課税対象となる理由は、それぞれの税制が想定する「主体の性質」と「制度の趣旨」の違いにあります。
税法上、法人は営利目的の活動主体であるため、個人への無償の財産移転であっても、純粋な贈与(好意)ではなく、法人活動に起因する経済的利益の供与(対価性のある所得)と解釈されます。一方、贈与税は生前贈与による相続税の課税回避を防止する性質(相続税の補完)を持つため、その適用対象は個人間の財産移転に限定されています。したがって、法人から個人への財産移転は贈与税の枠組みには入らず、所得税法上の経済的利益として課税される仕組みになっています。
肢④の補足
著しく低い価額での譲受けが「みなし贈与」とされる背景には、税負担の公平性を維持するという目的があります。
例えば、時価5,000万円の不動産を親から子へ無償譲渡する場合、本来であれば多額の贈与税が課されますが、これを回避する目的で「100万円の売買契約」という形式をとる租税回避行為が懸念されます。これを売買として容認すれば課税の公平性が損なわれるため、税法では実質課税の原則に基づき、時価と取引価額との差額(4,900万円)を、対価を支払わずに受けた経済的利益と捉えます。
このように、契約の名目が売買であっても、実質的な利益の移転に着目して贈与税の課税対象とする合理的なルールが採用されています。
田口先生
父の所有する土地を子が無償で借り、その土地の上に建物を建築した場合は、借地権の使用貸借になりますが、借地権の使用貸借による「借地を使用する権利の価額」はゼロとして取り扱われるため、贈与税の課税対象になりません。本問とあわせて内容を押さえておきましょう。
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