四択問題
分野:相続
相続により取得した宅地の相続税評価に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 貸家建付地の価額は、「自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」の算式により計算した金額によって評価する。
- 被相続人が、所有する宅地の上に店舗用建物を建築し、当該建物を賃貸借契約により第三者に賃貸していた場合、その宅地は貸家建付地として評価する。
- 被相続人が、所有する宅地に建物の所有を目的とする賃借権を設定し、借地人がその宅地の上に自宅を建築して居住していた場合、その宅地は貸宅地として評価する。
- 被相続人が、所有する宅地を使用貸借により子に貸し付け、その子がその宅地の上に自宅を建築して居住していた場合、その宅地は貸宅地として評価する。
解答
4
解説
- 〇(適切):記述の通りです。貸家建付地(自分の土地に自分の建物を建てて、それを他人に貸している場合のその土地)の評価額は、「自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)」の算式で求められます。他人に建物を貸している分だけ、土地の所有者はその土地を自由に利用したり処分したりすることが制限されるため、自分自身で使っている場合(自用地)の評価額よりも一定割合が減額されるよう計算式になっています。
- 〇(適切):記述の通りです。被相続人が自身の土地の上に建物を建て、それを第三者に賃貸していた場合、その建物の用途が居住用のアパートであっても店舗用であっても、その敷地は「貸家建付地」として評価されます。貸家建付地となるかどうかの基準は「自己所有の建物を他人に有償で貸していること」であり、建物の種類や用途は問われません。
- 〇(適切):記述の通りです。被相続人が自身の土地を第三者に貸し付け(借地権を設定し)、そこに借地人が自らの建物を建てて利用している場合、その土地は「貸宅地」として評価されます。貸宅地の評価額は、自用地としての価額から借地権の価額を差し引いた金額(原則として「自用地価額×(1-借地権割合)」)になります。土地の利用権が第三者の強力な借地権によって制約されているため、大幅な評価減が行われます。
- ✕(不適切):「貸宅地として評価する」という点が誤りです。正しくは「自用地として評価する」です。
親族間などで地代を受け取らずに無償で土地を貸すことを「使用貸借」と呼びます。使用貸借によって土地を貸し付け、そこに子が家を建てて住んでいたとしても、無償の貸し借りでは借地借家法で保護されるような強力な権利が発生しません。そのため、相続税の評価においては他人に貸しているという制約はないものとして扱われ、貸宅地のような評価減は行われず、被相続人が自分で利用していた場合と同じ「自用地」として評価されます。
各宅地の相続税評価額の計算式
- 自用地の評価額=路線価×奥行価格補正率×地積
- 借地権評価額=自用地評価額×借地権割合
- 貸宅地の評価額=自用地評価額×(1-借地権割合)
- 貸家建付地の評価額=自用地価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)
肢②③の補足
土地の相続税評価における貸家建付地と貸宅地の相違は、建物の所有権の帰属に起因します。
貸家建付地は、自己の土地上に自己の建物を建築し、当該建物を他人に賃貸している状態です。これに対し、貸宅地は土地そのものを他人に賃貸し、地上に他人の建物が存在する状態を指します。
貸宅地は、土地全体に対して強力な「借地権」が設定されるため、評価の減額割合が大きくなります。一方、貸家建付地は建物賃借人の「借家権」が土地に及ぼす影響分(借地権割合×借家権割合等)の減額に留まるため、一般的に貸宅地よりも評価額が高く算出されます。
田口先生
民法上、対価を伴う「賃貸借」と無償の「使用貸借」は明確に区別されます。
地代を支払う賃貸借の場合、借地人は借地借家法によって手厚く保護され、地主からの一方的な立ち退き要求は拒否できます。しかし、無償の使用貸借には同法が適用されず、貸主は比較的容易に土地の返還を求めることが可能です。
税務上もこの権利の差を反映します。いつでも返してもらえる弱い権利しか生じない使用貸借の土地は、所有者の自由な利用が制限されていないとみなされ、減額調整のない自用地としてそのまま評価されます。
地代を支払う賃貸借の場合、借地人は借地借家法によって手厚く保護され、地主からの一方的な立ち退き要求は拒否できます。しかし、無償の使用貸借には同法が適用されず、貸主は比較的容易に土地の返還を求めることが可能です。
税務上もこの権利の差を反映します。いつでも返してもらえる弱い権利しか生じない使用貸借の土地は、所有者の自由な利用が制限されていないとみなされ、減額調整のない自用地としてそのまま評価されます。
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