2025年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2025年5月公表 問3(労働者災害補償保険)

四択問題

分野:ライフ

労働者災害補償保険に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 労働者災害補償保険の適用を受ける労働者には、雇用形態がアルバイトやパートタイマーである者も含まれる。
  2. 労働者災害補償保険の保険料の算定に用いられる労災保険率は、事業の規模によって災害の発生率が異なることから、適用事業に従事する労働者数に応じて定められている。
  3. 労働者の業務上の傷病が治癒したときに、身体に一定の障害が残り、その障害の程度が所定の障害等級に該当する場合、障害補償給付が支給される。
  4. 業務災害により労働者が死亡した場合、対象となる遺族に対し、遺族補償給付として遺族補償年金または遺族補償一時金が支給される。



解答

2

解説

  1. 〇(適切):記述の通りです。労働者災害補償保険における「労働者」とは、職業の種類や雇用形態にかかわらず、事業に使用されて賃金を支払われるすべての者を指します。したがって、正社員だけでなく、アルバイトやパートタイマー、日雇い労働者、外国人労働者なども等しく適用の対象となります。
  2. ✕(不適切):「適用事業に従事する労働者数に応じて定められている」という点が誤りです。正しくは「事業の種類(業種)に応じて定められている」です。
    労災保険率は、過去の災害発生状況などを考慮して厚生労働大臣が定めますが、その基準は企業の規模(従業員数)ではなく「どのような事業を行っているか」に基づきます。林業や建設業など災害リスクが高い業種は保険率が高く設定され、金融業や通信業などリスクが低い業種は低く設定されています。
  3. 〇(適切):記述の通りです。業務上の傷病が「治癒(症状固定)」した後に、身体に一定の障害が残った場合、その障害の程度(第1級から第14級までの障害等級)に応じて障害補償給付が行われます。障害等級の第1級から第7級に該当する場合は「障害補償年金」が支給され、第8級から第14級に該当する場合は「障害補償一時金」が支給されます。
  4. 〇(適切):記述の通りです。業務災害によって労働者が死亡した場合、遺族の生活を保障するため、対象となる遺族に対して遺族補償給付が支給されます。給付の形態は遺族の要件(年齢や就労状況など)によって異なり、最優先順位の要件を満たす遺族には「遺族補償年金」が、年金受給資格者がいない場合などには「遺族補償一時金」が支給されます。
肢②の補足

労災保険の保険料は、事業主が全額負担します。その保険料率(労災保険率)を業種ごとに細かく設定しているのは、危険度の高い作業を伴う事業と安全な環境で行われる事業とで同じ保険料を負担させると、負担の公平性が損なわれるためです。さらに、一定規模以上の事業所においては、個々の事業所の過去3年間の災害発生状況に応じて、業種ごとの基本保険率から最大でプラスマイナス40%の範囲で保険料率を増減させる「メリット制」という特例が設けられており、事業主に対する労働災害防止への努力を経済的側面から促す設計になっています。

肢③の補足

労災保険の障害補償給付において、第1級から第7級までは年金、第8級から第14級までは一時金と分かれているのは、労働能力の喪失度合いによるその後の生活への影響を考慮しているためです。
第7級以上の重い障害は、将来にわたって継続的な収入の減少や生活の支障が大きいため、定期的な収入として長期的に生活を支える年金形式が採用されています。一方、第8級以下の障害は、労働能力の低下は認められるものの、再就職や継続就労の可能性が相対的に高いと判断されるため、当面の生活基盤を立て直すための一時金による給付になっています。

田口先生1
田口先生
事業主は、原則として労災保険の対象になりません。ただし、一定の要件を満たす場合に限り労災保険に任意加入することができます。この制度を特別加入制度といいます。
また、健康保険や厚生年金などの社会保険料は「会社と従業員で半分ずつ負担(労使折半)」ですが、仕事中のケガの責任は会社にあるため、労災保険の保険料は「会社が100%全額負担する」という違いもよく出題されます。

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