2025年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2025年5月公表 問6(遺族給付)

四択問題

分野:ライフ

公的年金の遺族給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持され、かつ、所定の要件を満たす「子のある配偶者」または「子」である。
  2. 厚生年金保険の被保険者である夫が死亡し、子のない30歳未満の妻が遺族厚生年金の受給権を取得した場合、その妻に対する遺族厚生年金の支給期間は、最長で10年間である。
  3. 厚生年金保険の被保険者である夫が死亡し、子のない40歳以上65歳未満の妻が遺族厚生年金の受給権を取得した場合、妻が65歳に達するまでの間、妻に支給される遺族厚生年金に中高齢寡婦加算額が加算される。
  4. 国民年金の被保険者の死亡により、その者の遺族に遺族基礎年金が支給される場合、その者の遺族に死亡一時金は支給されない。



解答

2

解説

  1. 〇(適切):記述の通りです。遺族基礎年金は、原則として死亡した被保険者等によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」に対して支給されます。この場合の「子」とは、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態にある未婚の子に限定されます。「子のない配偶者」は遺族基礎年金の受給対象にならないという点が、遺族厚生年金との大きな違いになります。
  2. ✕(不適切):「最長で10年間」という点が誤りです。正しくは「最長で5年間」です。
    厚生年金保険の被保険者である夫が死亡した当時、30歳未満でかつ遺族基礎年金の受給要件となる「子」がいない妻に対する遺族厚生年金は、生涯支給ではなく5年間の有期給付と定められています。若年で子がいない場合は、労働市場への参加による経済的な自立が比較的容易であると見なされるため、支給期間が限定されています。
  3. 〇(適切):記述の通りです。夫が死亡した当時、40歳以上65歳未満で「子」のない妻(または、子が成長して要件から外れ、遺族基礎年金の権利を失った40歳以上65歳未満の妻)には、妻が自身の老齢基礎年金を受給し始める65歳に達するまでの間、遺族厚生年金に中高齢寡婦加算額が上乗せされます。これは、遺族基礎年金を受け取れない空白期間の生活保障を目的とした特例的な加算措置です。
  4. 〇(適切):記述の通りです。死亡一時金は、国民年金の第1号被保険者として保険料を36月以上納付した者が、老齢基礎年金や障害基礎年金を一度も受け取らずに死亡し、かつその遺族が遺族基礎年金を受け取れない場合に支給される給付です。年金保険料の掛け捨てを防止する目的で設けられているため、遺族が遺族基礎年金を受給できる要件を満たす場合には、死亡一時金は支給されません。
肢②の補足

かつての遺族厚生年金は、配偶者(妻)に対しては年齢にかかわらず生涯支給されることが原則でした。しかし、共働き世帯の増加や女性の社会進出が進む中で、若くして子がいない妻に対して生涯にわたり年金を支給し続けることは、保険料を負担する現役世代との世代間負担の均衡を欠くという指摘がなされました。そのため、法改正により「30歳未満の子のない妻」に対しては、自立を促す目的も含めて5年間の有期給付へと制度が改められました。

肢④の補足

国民年金の第1号被保険者には、独自の掛け捨て防止措置として「死亡一時金」と「寡婦年金」があります。寡婦年金は、婚姻期間が10年以上ある妻へ60歳から65歳までの間に支給される給付です。これら双方の受給要件を満たす遺族であっても、公的年金の重複給付調整ルールにより、同時に受け取ることは認められていません。そのため、遺族は自らの選択により、いずれか一方のみを受給することになります。

遺族厚生年金の新しいルール

現行の遺族厚生年金は、かつての「夫が外で働き、専業主婦の妻が家を守る」という古いモデルを前提としているため、妻の死亡時に55歳未満の夫は一切受給できないという大きな男女格差があります。この格差をなくし「夫婦共働き前提」「男女平等」の制度とするため、以下の見直しが進められています。

  • 現行制度(2007年〜)の扱い:30歳未満で子のない妻は5年間のみの有期給付となります。「10代・20代で子供がいなければ、5年間のサポート期間中に自身の就労によって経済的に自立し、生活再建が十分可能である」という前提があるためです。
  • 改正制度(2028年4月以降)の扱い:これまで一生涯受給できていた30歳以上60歳未満の妻についても、性別や年齢による受給格差をなくし、男女共通で「原則5年間の有期給付(打ち切り)」へと見直される予定です。

なお、この改正は現役世代に向けたもので、すでに遺族厚生年金を受給している方や18歳未満の子がいる世帯には影響がありません。また、60歳以上で配偶者と死別した場合、今までどおり無期給付になる点も変更はありません。

田口先生1
田口先生
遺族厚生年金制度の見直しというと、妻の特権が奪われるマイナスな改正というイメージを持たれがちですが、実は、夫にとっては待望のプラスの改正でもあります。
現行制度では、妻に先立たれた夫は「55歳未満なら遺族厚生年金の支給はゼロ、55歳以上でも60歳まではお預け。」という非常に厳しい扱いを受けていました。しかし、改正後はこれまで1円ももらえなかった60歳未満の夫も、妻と同じく原則5年間のサポートを受けられるようになります。

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