四択問題
分野:リスク
契約者(=保険料負担者)を法人とする生命保険等に係る保険料の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、いずれの保険契約も保険料は年払いかつ全期払いで、2025年4月に締結したものとする。また、特約については考慮しないものとする。
- 被保険者を役員・従業員全員、死亡保険金受取人を被保険者の遺族、満期保険金受取人を法人とする養老保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。
- 被保険者を役員、死亡保険金受取人を法人とする終身保険の支払保険料は、その全額を資産に計上する。
- 被保険者を役員、給付金受取人を法人とする解約返戻金のない医療保険の支払保険料は、その全額を損金の額に算入することができる。
- 被保険者を役員、死亡保険金受取人を法人とし、最高解約返戻率が75%である定期保険(保険期間30年)の支払保険料は、保険期間の前半4割相当期間においては、その60%相当額を資産に計上し、残額を損金の額に算入することができる。
解答
1
解説
本問は、法人が契約者となって生命保険に加入したさいに、支払った保険料を会社の経理上で経費として落とせるのか、それとも会社の財産として計上しなければならないのか、という経理処理の基本ルールを問う問題です。
損金とは、法人の税金計算において、会社の経費として差し引くことが認められているお金のことです。損金が多いほど利益が圧縮され、法人税が安くなります。一方で、将来会社に解約返戻金や満期保険金としてお金が戻ってくる貯蓄性のある保険料は経費にすることができず、会社の貯金と同じように資産として計上する必要があります。
- ✕(不適切):「その全額を損金の額に算入することができる」という点が誤りです。正しくは「支払保険料の2分の1を資産(保険料積立金)に計上し、残りの2分の1を損金(福利厚生費)に算入する」です。
被保険者を役員・従業員の全員、死亡保険金受取人を遺族、満期保険金受取人を法人とする養老保険は、通称「ハーフタックスプラン」と呼ばれます。満期になれば会社にお金が入る(=会社の資産になる)性質と、従業員の万が一に備える(=福利厚生としての経費)性質を半分ずつ併せ持っているため、経理処理も半分を資産、残りの半分を損金として処理します。 - 〇(適切):記述の通りです。終身保険は一生涯の保障があり、いつか必ず死亡保険金が支払われる(確実に会社にお金が入ってくる)貯蓄性の高い保険です。掛け捨ての要素が一切ないため、保険料を支払った時点では経費(損金)にできず、全額を資産(保険料積立金)として計上する必要があります。
- 〇(適切):記述の通りです。解約返戻金のない(掛け捨ての)医療保険や定期保険において、給付金や死亡保険金の受取人が法人である場合、その支払保険料は原則として全額を損金(支払保険料等)に算入することができます。後から会社にお金が戻ってくる貯蓄性がなく、単なる掛け捨ての経費として扱われるためです。
- 〇(適切):記述の通りです。2019年の税制改正以降、法人の定期保険は最高解約返戻率(ピーク時にいくらお金が戻ってくるか)に応じて、資産に計上する割合が細かく決められました。最高解約返戻率が70%超85%以下に該当する場合、保険期間の前半4割の期間においては、支払保険料の大部分を資産に計上し、残りを損金に算入するという厳しいルールになっています。貯蓄性が高い定期保険ほど、損金にできる割合は小さくなります。
田口先生
法人保険の経理処理で迷ったら「後で会社にお金が戻ってくるか?」という基準で考えましょう。満期や解約で会社にお金が戻ってくる貯蓄性の高いものは会社の貯金(資産)、掛け捨てで戻ってこないものは経費(損金)というのが、経理処理の基本ルールです。
FP3級 試験問題解説 全問リスト
【年度別】試験問題解説
FP2級 試験問題解説
