2025年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2025年5月公表 問51(贈与)

四択問題

分野:相続

民法上の贈与に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 定期贈与は、贈与者または受贈者のいずれか一方が生存している限り、その効力を失うことはない。
  2. 書面によらない贈与は、当該贈与契約の履行が終わった部分を除き、贈与者および受贈者が解除をすることができる。
  3. 負担付贈与の受贈者が、その負担である義務を履行しない場合において、贈与者が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がなくても、原則として、贈与者が当該贈与契約の解除をすることはできない。
  4. 死因贈与には民法の遺贈に関する規定が準用されるため、贈与者の相続開始後、死因贈与契約書について家庭裁判所による検認を請求する必要がある。



解答

2

解説

本問は、民法における贈与の基本的なルールや特殊な贈与の法的性質について問う問題です。

贈与はタダで財産をあげる行為ですが、法的な契約の一種であるため、口約束の場合の取り扱いや条件付きであげた場合などのルールが民法で細かく定められています。

  1. ✕(不適切):「贈与者または受贈者のいずれか一方が生存している限り、その効力を失うことはない」という点が誤りです。正しくは「贈与者または受贈者のいずれか一方が死亡した時点でその効力を失う」です。
    定期贈与とは「毎年100万円を贈与する」といったように、一定の時期ごとに定期的に財産をあげる契約です。この契約は、あげる側ともらう側の個人的な信頼関係や事情に基づいて結ばれるものです。そのため、どちらか一方が死亡した場合にはその時点で契約の効力が消滅し、相続人が引き続き払う義務を負ったり、もらう権利を引き継いだりすることはありません。
  2. 〇(適切):記述の通りです。書面によらない贈与は、後から「言った」「言ってない」のトラブルになりやすいため、まだ約束を果たしていない部分(履行が終わっていない部分)については、あげる側からもらう側からも自由に解除(取り消し)することができます。ただし、すでに相手にお金を渡してしまった、名義を変更してしまったなど、履行が終わった部分については、法的な安定性を保つために後から解除することはできません。
  3. ✕(不適切):「原則として、贈与者が当該贈与契約の解除をすることはできない」という点が誤りです。正しくは「原則として、贈与者が当該贈与契約の解除することができる」です。
    負担付贈与とは、「住宅ローンの残債を支払ってくれるなら、この家をあげる」といったように、もらう側にも一定の義務を負わせる贈与です。この場合、通常の双務契約(お互いに義務を負う契約)と同じルールが適用されます。もらう側が約束した義務を果たさないのであれば、あげる側は「期間内に約束を守ってくれ」と催告したうえで、それでも守られない場合は契約を解除し、あげた財産を取り戻すことができます。
  4. ✕(不適切):「死因贈与契約書について家庭裁判所による検認を請求する必要がある」という点が誤りです。正しくは「死因贈与は契約であるため、家庭裁判所による検認を請求する必要はない」です。
    死因贈与は「私が死んだらこの財産をあげる」「わかりました」という生前の合意に基づく契約です。遺贈(遺言によって一方的に財産を与えること)の規定が準用される部分はありますが、あくまで双方の合意がある契約書であるため、自筆証書遺言などで求められる家庭裁判所の検認(遺言書の偽造や変造を防ぐための確認手続き)は不要です。
田口先生1
田口先生
民法の大原則として、契約は「口約束」でも成立します。コンビニで買い物をするたびに契約書にサインしないのと同じです。しかし、贈与のようなタダで一方的に財産をあげる行為を口約束だけで絶対的なものにしてしまうと、酒の席での軽はずみな発言などで思わぬ損害を被る危険があります。
そのため、「書面によらない贈与」については、履行前ならいつでも解除できるという例外的なルールを設けて、軽率な贈与から当事者を保護する仕組みになっています。

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