四択問題
分野:不動産
個人が土地を譲渡した場合の譲渡所得に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 譲渡した土地の取得費が不明な場合、譲渡所得の金額の計算上、譲渡収入金額の10%相当額を取得費とすることができる。
- 土地の譲渡に係る所得については、譲渡した日の属する年の1月1日における当該土地の所有期間が5年を超える場合、長期譲渡所得に区分される。
- 土地の譲渡に係る所得が長期譲渡所得に区分される場合、課税長期譲渡所得金額に対し、原則として、所得税(復興特別所得税を含む)15.315%、住民税5%の税率により課税される。
- 土地を譲渡する際に支出した仲介手数料は、譲渡所得の金額の計算上、譲渡費用に含まれる。
解答
1
解説
本問は、個人が土地や建物を売却して利益(譲渡所得)を得たさいの、税金計算の基本的なルールについて問う問題です。
不動産の譲渡による所得は、給与などの他の所得とは切り離して独自の税率で計算される申告分離課税の方式がとられており、所有していた期間の長さや経費の算出方法によって税額が大きく変動する仕組みになっています。
- ✕(不適切):「譲渡収入金額の10%相当額」という点が誤りです。正しくは「譲渡収入金額の5%相当額」です。
先祖代々受け継いできた土地や、購入時の契約書を紛失してしまった土地を売却する場合など、実際の取得費が不明なケースがあります。このような場合の救済措置として、売った金額の5%を概算取得費として差し引くことが認められています。 - 〇(適切):記述の通りです。不動産の譲渡所得は、所有期間の長短によって「長期」と「短期」に区分されます。ここで重要なのが、所有期間をカウントする基準日は「譲渡した日」ではなく、「譲渡した日の属する年の1月1日」時点であるという点です。この1月1日時点で所有期間が5年超であれば長期譲渡所得、5年以下であれば短期譲渡所得として扱われます。
- 〇(適切):記述の通りです。所有期間が長期(5年超)に区分された場合、売却して得た利益に対して課される税率は、所得税15%(復興特別所得税を含めて15.315%)と住民税5%の、合計20.315%になります。
なお、短期譲渡所得(5年以下)の場合は、所得税30%(復興特別所得税を含めて30.63%)+住民税9%の合計39.63%となり、税負担が長期の約2倍に跳ね上がります。これは短期的な不動産転売による投機を防ぐための措置です。 - 〇(適切):記述の通りです。譲渡所得を計算するさいに、売上(譲渡収入)から差し引くことができる経費には、購入時に発生した取得費と、売却時に発生した譲渡費用の2種類があります。後者の譲渡費用には、不動産会社に支払う仲介手数料のほか、売買契約書に貼る印紙代、土地を売るために行った測量費や建物の取り壊し費用など、その不動産を売るために直接かかった費用が含まれます。
肢②で問われている「1月1日基準」については、具体例で考えたほうが分かりやすいです。例えば、2020年10月1日に買った土地があるとします。これを丸5年経過した翌日の、2025年10月2日に売却したとします。
長期・短期の判定
- 実際の所有期間:5年と1日(→5年超)
- 税法上の判定:売った年の1月1日(2025年1月1日)時点でカウントするため、所有期間は「2020年10月1日〜2025年1月1日」の4年3か月(→5年以内のため短期譲渡所得)
このように、カレンダー上では5年超所有していても、税法上の1月1日ルールを当てはめると4年ちょっとしか持っていないことになり、税金が高い短期譲渡所得として扱われてしまいます。長期譲渡所得とするためには、さらに年をまたいで2026年1月1日以降に売却しなければなりません。
また、肢③に出てくる「復興特別所得税(東日本大震災の復興に必要な財源を確保するために期間限定で課される税金)」は、2037年まで所得税に上乗せされる予定です。
- 譲渡した年の1月1日時点の所有期間が5年以下:短期譲渡所得
- 分離短期譲渡所得に課される税金
- 所得税:通常30%+復興特別所得税0.63%(=30%×2.1%)=30.63%
- 住民税:9%
- 譲渡した年の1月1日時点の所有期間が5年超:長期譲渡所得
- 分離長期譲渡所得に課される税金
- 所得税:通常15%+復興特別所得税0.315%(=15%×2.1%)=15.315%
- 住民税:5%
田口先生
不動産の譲渡所得における「概算取得費」について、「概算取得費は、昔の契約書を紛失して実際の取得費が”不明な場合”にしか使えない」と思い込んでしまう方がいます。
実は、実際の取得費が1円単位で正確に分かっている場合であっても、大昔に非常に安く買った土地などで実際の取得費が売値の5%を下回るケースでは、あえて有利な概算取得費(5%)を採用して経費を計上し、税金を安く抑えることが認められています。
実は、実際の取得費が1円単位で正確に分かっている場合であっても、大昔に非常に安く買った土地などで実際の取得費が売値の5%を下回るケースでは、あえて有利な概算取得費(5%)を採用して経費を計上し、税金を安く抑えることが認められています。
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