2025年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2025年5月公表 問11(生命保険)

四択問題

分野:リスク

生命保険の保険料等の一般的な仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 責任準備金は、保険会社が将来の保険金等の支払のために、保険数理に基づいて算定し、積み立てる準備金である。
  2. 保険料のうち、将来の保険金等の支払財源となる純保険料は、予定死亡率と予定利率に基づいて計算される。
  3. 終身保険について、保険料の算定に用いられる予定利率が引き上げられた場合、新規契約の保険料は高くなる。
  4. 保険会社が実際に要した事業費が、保険料を算定する際に見込んでいた事業費よりも少なかった場合、費差益が生じる。



解答

3

解説

本問は、生命保険の保険料がどのように計算されているかと、保険会社の利益が生じる仕組みについて問う問題です。

生命保険の保険料は、保険会社がどんぶり勘定で決めているわけではありません。あらかじめ「①どれくらいの人が亡くなるか(予定死亡率)」「②集めたお金を運用してどれくらい増やせるか(予定利率)」「③会社の運営にどれくらい経費がかかるか(予定事業費)」という3つの予測(予定率)を立て、それらをベースに数学的な計算を用いて決定されています。

  1. 〇(適切):記述の通りです。責任準備金とは、保険会社が将来の保険金や給付金を確実に支払うために、法律(保険業法)に基づいて強制的に積み立てておくことが義務付けられているお金のことです。もし保険会社が倒産するようなことがあっても、この責任準備金がしっかりと確保されていれば、契約者への支払いをある程度守ることができます。
  2. 〇(適切):記述の通りです。私たちが支払う生命保険料は、大きく2つのパーツに分かれています。一つは将来の保険金の支払いに直接充てられる純保険料で、これは「予定死亡率」と「予定利率」の2つを使って計算されます。もう一つは、保険会社の社員の給料やパンフレット代などに使われる付加保険料で、こちらは「予定事業費」を使って計算されます。この分類は非常によく出題されます。
  3. ✕(不適切):「新規契約の保険料は高くなる」という点が誤りです。正しくは「新規契約の保険料は安くなる(引き下げられる)」です。
    予定利率とは、保険会社が「お客様から預かった保険料を、将来の支払いまでに運用して〇%増やせますよ」という約束の利回りのことです。予定利率が引き上げられるということは、保険会社が自分たちの運用でたくさんお金を増やせるということになります。つまり、契約者から最初に集める保険料は少なくて済む(あらかじめ運用で増える分を割引してあげられる)ため、保険料は安くなります。
  4. 〇(適切):記述の通りです。保険会社があらかじめ見積もっていた予定の数字よりも、実際の成績が良くてお金が余った場合、それを剰余金(=配当金の原資)と呼びます。経費(事業費)が見込みよりもかからず節約できたことで生じた利益は「費差益(ひさえき)」と呼ばれます。他にも、亡くなった人が予想より少なかった場合の「死差益」、運用が予想よりうまくいった場合の「利差益」があり、これらを合わせて三大利源と呼びます。
田口先生1
田口先生
かつてのバブル期のような高金利時代は、保険会社が運用で大きくお金を増やせたため予定利率が高く、保険料は非常に安く済んでいました。いわゆる「お宝保険」と呼ばれるものです。その後、長らく続いた低金利時代においては運用が難しく、予定利率が下がったことで保険料は高止まりしていました。
しかし近年、市場金利が上昇局面に転じたことで、生命保険各社が数年ぶりに予定利率を引き上げ、それに伴い新規契約の保険料が値下げされるという動きが出てきています。

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