2025年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2025年5月公表 問16(自賠責保険)

四択問題

分野:リスク

自動車損害賠償責任保険(以下、「自賠責保険」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 原動機付自転車は、自賠責保険の加入が義務付けられていない。
  2. 自賠責保険の保険金の支払限度額は、加害車両が1台である場合、被害者1人につき、死亡による損害については3,000万円である。
  3. 自賠責保険の補償の対象は対人賠償に限られ、対物賠償は補償の対象とならない。
  4. 自賠責保険では、被害者が、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払を請求することができる。



解答

1

解説

本問は、自動車や原動機付自転車を運転するすべての人が加入しなければならない自賠責保険の対象範囲や補償内容、保険金の請求ルールについて問う問題です。

自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)は、交通事故の被害者を救済することを最大の目的として、法律によりすべての自動車(原動機付自転車を含む)に加入が義務付けられている強制的な保険です。

被害者のケガや死亡に対する最低限の対人賠償のみをカバーしており、車やモノを壊した時の対物賠償や運転手自身のケガは補償されません。

  1. ✕(不適切):「加入が義務付けられていない」という点が誤りです。正しくは「加入が義務付けられている」です。
    自賠責保険は、公道を走るすべての自動車と原動機付自転車(原付)に加入が義務付けられている強制保険です。原付だからといって加入しなくてよいという例外はありません。もし未加入のまま運転した場合は、法律違反として厳しい罰則(1年以下の懲役または50万円以下の罰金、免許停止など)が科せられます。
  2. 〇(適切):記述の通りです。自賠責保険から支払われる保険金には、被害者1人当たりの限度額が法律で厳格に定められています。死亡の場合は最高3,000万円、後遺障害の場合は最高4,000万円、傷害(ケガ)の場合は最高120万円となります。被害者が複数いる場合でも、1事故あたりではなく被害者1人あたりでこの限度額がそれぞれ適用されます。
  3. 〇(適切):記述の通りです。自賠責保険はあくまで「交通事故の被害者(人間)の命と体を救済する」ことを目的とした最低限の保険です。そのため、他人の車や店舗、ガードレールなどを壊してしまった場合の対物賠償や、運転手自身がケガをした場合の自身の傷害については一切補償されません。これらの足りない部分をカバーするために、任意保険(民間の自動車保険)に加入する必要があります。
  4. 〇(適切):記述の通りです。通常の損害賠償では加害者側が保険会社に保険金を請求しますが、自賠責保険では被害者を迅速に救済するため、被害者自身が加害者の加入している保険会社に対して直接、損害賠償額の支払いを請求できる「被害者請求」という制度が認められています。これにより、加害者が支払いを渋ったり連絡が取れなくなったりした場合でも、被害者は泣き寝入りすることなく確実に補償を受け取ることができます。
田口先生1
田口先生
自賠責保険の死亡限度額は3,000万円ですが、実際の交通事故の裁判では、被害者の年齢や収入によっては1億円を超える高額な損害賠償が命じられるケースが多々あります。
自賠責保険はあくまで国が定めた最低限の救済枠に過ぎないため、限度額を超える部分の対人賠償や自賠責では一切出ない対物賠償を無制限でカバーするために、民間の任意保険(自動車保険)への加入が事実上、必須になっています。

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