四択問題
分野:タックス
法人税における減価償却に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、当期とは2024年4月1日から2025年3月31日までの事業年度であるものとする。
- 法人が減価償却費を損金の額に算入するにあたっては、確定した決算において償却費として損金経理することが要件とされている。
- 法人が2016年4月1日以後に取得した建物、建物附属設備および構築物については、「減価償却資産の償却方法の届出書」の提出の有無にかかわらず、定額法を選択することはできず、定率法しか認められない。
- 当期に取得価額が10万円未満の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合、その使用可能期間の長短にかかわらず、原則として、当期においてその取得価額の全額を損金経理により損金の額に算入することができる。
- 当期に取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産を取得して事業の用に供した場合、原則として、当期以後3年間にわたってその取得価額の3分の1相当額を損金経理により損金の額に算入することができる。
解答
2
解説
本問は、法人がパソコンや車、建物などの固定資産を購入したさいに計上する減価償却費の計算方法や特例に関する知識を問う問題です。
減価償却とは、事業のために長期間にわたって使用する高額な資産(建物、機械、車など)を購入したさいに、購入した年に一度に全額を経費計上するのではなく、その資産が使える期間(耐用年数)に応じて、分割して少しずつ経費(損金)として計上していくルールのことです。
- 〇(適切):記述の通りです。法人税の計算において減価償却費を税務上の経費(損金)として認めてもらうためには、会社があらかじめ自分たちで作る決算書の中で減価償却費として経費計上(損金経理)していることが絶対条件となります。税務署が勝手に計算して経費にしてくれるわけではなく、会社が自ら経費として処理したものだけを認めるという法人税の大原則(決算確定主義)に基づいています。
- ✕(不適切):「定額法を選択することはできず、定率法しか認められない」という点が誤りです。正しくは「定率法を選択することはできず、定額法しか認められない」です。
税制改正により、2016年(平成28年)4月1日以後に法人が取得した建物附属設備(電気設備など)および構築物(塀や駐車場など)については、定率法が廃止され、すべて定額法に一本化されました。なお、建物そのものについては、それ以前の1998年(平成10年)4月1日以後の取得分からすでに定額法のみとなっています。したがって、届出書の有無にかかわらず、これらには毎年同額を償却する定額法しか適用できません。 - 〇(適切):記述の通りです。取得価額が10万円未満の少額な減価償却資産については、事務処理の負担を軽くするため、使用可能期間(耐用年数)にかかわらず、購入して使い始めた事業年度に全額を一括して経費(損金)に落とすことができるという特例が認められています。このような資産を「少額減価償却資産」といいます。
- 〇(適切):記述の通りです。取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、個別の耐用年数をいちいち調べなくても、購入した事業年度から3年間で、毎年均等に3分の1ずつ経費(損金)として計上できるという便利な特例があります。このような資産を「一括償却資産」といいます。
肢②で問われた「減価償却方法」は、FP2級の学科試験の頻出論点のひとつです。「建物」「建物附属設備・構築物」「機械・備品・車両運搬具」の3つに分けて、内容をきちんと押さえておきましょう。
| ~1998/3/31 | 1998/4/1~ 2007/3/31 |
2007/4/1~ 2012/3/31 |
2012/4/1~ 2016/3/31 |
2016/4/1~ | |
|---|---|---|---|---|---|
| 建物 | 旧定額法 or 旧定率法 |
旧定額法 | 定額法 | ||
| 建物附属設備 構築物 |
旧定額法 or 旧定率法 |
定額法 or 250%定率法 |
定額法 or 200%定率法 |
定額法 | |
| 機械 備品 車両運搬具 |
旧定額法 or 旧定率法 |
定額法 or 250%定率法 |
定額法 or 200%定率法 |
||
田口先生
機械・備品・車両運搬具については2つの減価償却方法(定額法・200%定率法)が認められています。このように複数の減価償却方法が認められる場合の法定償却方法(事前の届出をしていない場合に適用される原則の計算方法)もあわせて押さえておきましょう。
【法人】継続的な成長と利益を追求する法人は、設備投資の費用をできるだけ早期に回収し、次のビジネスへの再投資に回すことが重視されます。そのため、初年度に多額の減価償却費を計上して目先の税負担を抑えやすい「定率法」が原則とされています。
【個人】一方で、個人事業主の場合は、毎年の複雑な税務計算による事務負担を軽減することが優先されるため、毎年同じ金額をシンプルに費用化できる「定額法」が原則として指定されています。
なお、事前に所轄の税務署長に申請書を提出してその承認を受ければ、法人が定額法を採用することも、個人が定率法を採用することも可能です。
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