2025年5月公表分

【試験問題解説】FP2級 学科試験 2025年5月公表 問43(借地借家法)

四択問題

分野:不動産

借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。

  1. 普通借地権の設定契約において、その存続期間は50年を超えることができない。
  2. 借地権者の債務不履行により普通借地権の設定契約が解除された場合、借地権者は、借地権設定者に対し、借地上の建物を時価で買い取るべきことを請求することができない。
  3. 普通借地権の存続期間が満了する場合に、借地権者が契約の更新を請求し、借地権設定者が遅滞なく異議を述べなかったときは、借地上に建物が存在するかどうかにかかわらず、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。
  4. 普通借地権の設定契約は、公正証書によってしなければならない。



解答

2

解説

本問は、借地借家法における「普通借地権」の基本的なルールについて問う問題です。

土地を貸す側と借りる側ではどうしても貸す側の立場が強くなってしまうため、借地借家法は立場の弱い借りる側を保護し、借りる側が長期間にわたって安心して土地を利用できるよう、民法の特別法として様々な規定を設けています。

  1. ✕(不適切):「その存続期間は50年を超えることができない」という点が誤りです。正しくは「存続期間に上限はなく、50年を超える期間を定めることもできる」です。
    普通借地権の存続期間は、法律上、30年が下限として定められていますが、当事者の合意によってこれより長い期間を設定することは自由に認められています。民法上の賃貸借契約には上限がありますが、借地借家法の普通借地権においては期間の上限規定が存在しないため、60年や100年といった半永久的な期間を設定することも可能です。
  2. 〇(適切):記述の通りです。借地権の存続期間が満了し、契約が更新されなかった場合、借地人は地主に対して「借地上の建物を時価で買い取ってほしい」と一方的に請求できる権利を有しています。これを「建物買取請求権」といいます。
    しかし、この権利はあくまで期間満了時に借地人を保護するための措置です。借地人が地代を滞納するなどの債務不履行(ルール違反)を理由に契約を解除された場合は、もはや借地人を保護する必要性に欠けるため、買取請求権の行使は認められません。
  3. ✕(不適切):「借地上に建物が存在するかどうかにかかわらず」という点が誤りです。正しくは「借地上に建物が存在する場合に限り」です。
    普通借地権の存続期間が満了したさい、借地人が契約の更新を請求し、地主が正当の事由をもって遅滞なく異議を述べなかった場合、従前と同一の条件で契約が更新されたものとみなされます。これを「法定更新」といいます。ただし、この法定更新が成立するためには、借地上に建物が存在していることが絶対条件になります。すでに建物が滅失して更地になっている場合には、更新請求による法定更新は適用されません。
  4. ✕(不適切):「公正証書によってしなければならない」という点が誤りです。正しくは「書面などの方式に制限はなく、口頭でも成立する」です。
    契約の更新がない定期借地権のうち、一般定期借地権は書面等による契約が、事業用定期借地権は公正証書による契約が必須とされています。一方で、本問の普通借地権については、借地借家法上に契約方式の特別な制限は設けられていません。そのため、(実務上はトラブル防止のために契約書を作成するのが一般的ですが、)口頭による合意だけでも契約自体は有効に成立します。

肢①の普通借地権の設定契約については、上述のとおり(目的にかかわらず)存続期間を30年以上に設定する必要があります。30年以上の期間を定めた場合は「その定めた期間」、30年未満と定めた場合および期間を定めなかった場合は「30年」になるため、例えば、契約で期間を10年と定めた場合、存続期間は10年ではなく30年になります。

また、肢④では普通借地権の契約方法が問われていますが、FP2級の学科試験ではどちらかというと定期借地権の契約方法のほうがよく問われます。以下の表を使って、3つの定期借地権の契約期間・利用目的・契約方法を押さえておきましょう。

3種類の定期借地権
一般定期借地権 事業用定期借地権 建物譲渡特約付借地権
契約期間 50年以上 10年以上~50年未満 30年以上
利用目的 制限なし 事業用のみ 制限なし
契約方法 書面 公正証書 制限なし
田口先生1
田口先生
民法上の賃貸借契約の存続期間は、2020年の民法改正により、その上限が20年から50年へと延長されました。本問の肢①は、この民法の上限ルール(50年)と借地借家法の特別ルール(上限なし)を意図的に混同させることを狙った引っかけ問題です。
借地に関しては、一般法である民法よりも特別法である借地借家法が優先して適用されるため、「借地契約においては期間の上限がない」という法的関係性を改めて整理しておきましょう。

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