四択問題
分野:相続
贈与税の計算に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 子が同一年中に父母のそれぞれから暦年課税に係る贈与により財産を取得した場合、贈与税額の計算上、贈与税の課税価格から控除する基礎控除額は、最高で220万円である。
- その年の1月1日において18歳以上の者が、直系尊属から暦年課税に係る贈与により財産を取得した場合、贈与税額の計算上、特例贈与財産に係る税率が適用される。
- 相続時精算課税適用者が、2024年1月1日以後に特定贈与者から贈与により財産を取得した場合、贈与税額の計算上、基礎控除額が控除される。
- 相続時精算課税に係る贈与税額の計算上、適用される税率は、一律20%である。
解答
1
解説
本問は、贈与税の基本方式である「暦年課税」と、特例方式である「相続時精算課税」のそれぞれにおける控除額や適用税率などの具体的な計算ルールを問う問題です。
贈与税は、将来の相続税を逃れるための生前贈与を牽制する役割を持つ一方で、高齢世代から若年世代への早期の資産移転を促すための優遇措置が数多く設けられています。
- ✕(不適切):「最高で220万円」という点が誤りです。正しくは「最高で110万円」です。
暦年課税における基礎控除額(年間110万円)は、財産をあげる人(贈与者)ごとではなく、財産をもらう人(受贈者)ごとに計算されます。
例えば、子が1年の間に父親から110万円、母親から110万円の贈与を受けた場合、子自身の基礎控除額は合計220万円ではなく、最高限度額の110万円です。残りの110万円に対しては贈与税が課税されます。 - 〇(適切):記述の通りです。暦年課税の税率には、一般的な贈与に適用される一般税率と、親から子などの一定の贈与に適用される有利な特例税率の2種類があります。
その年の1月1日時点で18歳以上の者が、直系尊属(父母や祖父母など)から贈与を受けた場合には、より税負担の軽い特例税率が適用されます。高齢世代からの資産移転を促し、経済を活性化させるための優遇措置です。 - 〇(適切):記述の通りです。相続時精算課税制度を選択した場合、従来は暦年課税の基礎控除(110万円)は使えませんでしたが、2024年(令和6年)の税制改正により、2024年1月1日以降の贈与からは、累計2,500万円の特別控除とは別枠で、年間110万円の基礎控除が新たに新設されました。これにより、同制度を選択しても年間110万円以下の贈与であれば申告不要となり、使い勝手が大きく向上しました。
- 〇(適切):記述の通りです。相続時精算課税制度においては、累計2,500万円の特別控除額(および新設された年間110万円の基礎控除額)を超えた部分の金額に対して、一律20%の贈与税が課されます。暦年課税のような金額が上がるほど税率も高くなる超過累進税率とは異なり、どれだけ多額の贈与を受けても一旦は20%の固定税率で納めることになります。
肢④の解説でも少し触れましたが、暦年課税にかかる贈与税額の計算上、適用される税率は「超過累進税率」です。基礎控除後の課税価格に8段階の税率(10%~55%)を乗じて贈与税額を計算します。
田口先生
相続時精算課税の「一律20%」という税率は、なぜ累進税率ではないのでしょうか。それは、相続時精算課税制度における贈与税が、あくまで将来の相続税の「仮払い」という性質を持っているからです。
ここで一旦20%で税金を納めておいても、最終的に贈与者が亡くなったさいに、これらの財産はすべて相続財産に足し戻されて相続税として再計算され、預け過ぎていれば還付され、足りなければ追加で納付することになります。最終的に相続税で精算するため、生前贈与の段階では一律20%というシンプルな仮計算にとどめているのです。
ここで一旦20%で税金を納めておいても、最終的に贈与者が亡くなったさいに、これらの財産はすべて相続財産に足し戻されて相続税として再計算され、預け過ぎていれば還付され、足りなければ追加で納付することになります。最終的に相続税で精算するため、生前贈与の段階では一律20%というシンプルな仮計算にとどめているのです。
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